雷電山の山姫 ~ときがわ町
【妖怪名】 雷電山の山姫
【伝説地】 埼玉県ときがわ町
【内 容】
昔、雷電山の頂きから、妙えなる神楽の音が時々聞こえてきた。それは、山の上に住む片足のお姫様が奏するものと言われていた。お姫様に逢うには頂上まで片足でのぼらなければならなかった。
ある時、堂山村(現・越生町)の若者が、神楽の音を聞いて、たまらなく姫にあいたくなった。そして、片足で登山をはじめた。歯を食いしばり登り続けたが、九合目までたどり着いた時、とうとう両脚を地につけてしまった。若者は失望と疲労のためそこで亡くなってしまった。
それから神楽は聞こえなくなり、姫の行方もわからなくなってしまった。
若者の亡くなった日には死を悼むかのような大雨が降ったことから、日照りの時には、山の上に登って若者を弔えば雨が降ると言われ、山の名も雨乞い尾根と言われるようになった。
【補 足】
・「日本伝承民俗童話全集」では、東松山市大谷の雷電山における話として、同様な山姫の話がある。
・この話でも、山の神は一つ目一本足であると言う信仰があらわれています。
【出 典】
「埼玉史談 第3巻」 埼玉県郷土文化会 編、国書刊行会
「埼玉県伝説集成 分類と解説 下巻」 韮塚一三郎 編、北辰図書
【参考文献】
「日本伝承民俗童話全集1 関東篇」 藤沢衛彦 著、河出書房
http://p.booklog.jp/book/50654/page/1157408