鬼怒沼の機織姫の原作との比較。まん日では?

鬼怒沼の機織姫 についてのコメント&レビュー投稿
弥十(やじゅう)という若者が姉の家に届け物をした帰り、道に迷って鬼怒沼にたどり着いてしまう。鬼怒沼の素晴らしい景色に見とれているうちに弥十は疲れて眠ってしまった。 しば...…全文を見る

鬼怒沼の機織姫の原作との比較。まん日では?

投稿者:マルコ 投稿日時 2013/9/10 18:15
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昔、日光の奥の川俣という所に「やじゅう」という十七になる若者が住んでいた。
ある日やじゅうは母親から、日光沢に嫁に行っている姉に子供が産まれたので祝いのもちを届けてくれと頼まれた。
昼頃姉の家に着くと姉は大変喜び、やじゅうは飯をすませ一休みしてから姉の家を出た。
今度は荷が無いので足は軽い。だが途中で足を止めた。もうとっくに下りにかかってよいはずなのに道はなお山を上っている。
やじゅうは不思議に思ったが「まあいいか、そのうち道が見つかるだろう」と思って歩いた。川俣で産まれ育ったやじゅうはこの辺りの地形を知り尽くしているので、別に不安もなかった。
そして上っていく内に次第に視界が開けた。そこは、やじゅうも初めて見る風景であった。
広々とした大地に幾十ともなく沼が点在し、しかも今夏の始めで可憐な花が咲き乱れている。
やじゅうは「何と美しい景色だ、この世の極楽とはこういう所を言うのか」と驚いた。
やじゅうは子供の頃から「鬼怒沼」の話を聞かされていた。
高くそびえる鬼沼山の上にはたくさんの沼があり、そこには春から夏にかけてきれいな花が咲いて、人を夢見心地に誘い込む。
その沼には「機織姫」が住んでいて、姫が機を織るのをうっかりのぞき見すると、恐ろしい祟りがある。
やじゅうはここはきっと鬼怒沼なのだと思った。花の香に酔い、それに歩き疲れていたやじゅうは岩の上にごろりと横になった。
岩は日に照らされて程よく温まっており、やじゅうはいつかうとうとと眠りこんでしまった。
そのうち日が陰って薄寒くなり、やじゅうはふと目を覚ました。するとどこからか誰かの歌声が聞こえてきた。
岩影から声のする方を見ると、やじゅうの目に機を織る娘の姿が映った。それは光り輝くような美しい娘であった。
やじゅうは機織姫だと思い、うっかりのぞき見すると恐ろしい祟りがあると思い出し、思わず目をふせた。
だが何となく気になり、もう一度岩影からそっと娘を見てみた。娘の黒髪は肩を越えて背になびき、身には薄布をまとっている。
さらに遠目のよくきくやじゅうは、薄布の下の盛り上がった乳房や、丸みをおびた尻まで、すっかり見てとってしまった。
あまりに美しい娘の姿は天女様のように見え、やじゅうはもっと近くで見たいと、言い伝えも忘れてふらふらと娘に近付いていった。
やじゅうが娘の目の前に近付いても、娘はただ歌を歌いながら機を織り続けていた。
やじゅうは「天女様…」と言って娘の肩に手をかけた。
その時、娘は「手をどけてくださんか、機織りができませぬ」と言ってやじゅうの手を掴んだ。
その手はものすごい力でやじゅうの手をしめつけた。やじゅうは娘のあまりの力に思わず声をあげふりほどいた。
やじゅうが驚いて身上げると、娘は突然やじゅうの顔に爪を降り下ろした。
やじゅうが顔を触ってみると、その手には血がべっとりとついている。
娘は「この沼には近付いてはならぬと知っていて足を踏み入れたのか?」と言った。
やじゅうはたまらずその場から逃げ出した。
娘は逃げるやじゅうを見ながら「この沼に入った者は帰すわけにはいかぬ」と言って機織り機の杼(ひ)を投げ付けた。
やじゅうが必死になって走りに走りに、ようやく自分の家に辿り着いた。
だがその時、娘が投げた杼が戸板を突き破り、その糸がやじゅうの身体をぐるぐる巻きにした。
そしてやじゅうはものすごい力で引っ張られた。
やじゅうは必死で「助けてくれ!鬼怒沼にはもう二度と近付かねえ!」と許しをこいたが、娘はすごい力でやじゅうを引きずっていった。
やがてやじゅうは鬼怒沼まで引き戻されてしまった。やじゅうが必死で謝ったが、娘は許そうとしなかった。
思いあまったやじゅうは、娘に向かって殴りかかった。
だが娘はひょいとやじゅうをかわし、やじゅうは勢いあまって後ろの沼に飛び込んでしまった。
やじゅうは糸にからまれて身動きが取れず、とうとう沈んでしまった。
娘は沈んだやじゅうを見て、また機織りを始めた。それからしばらくして、沼に沈んだやじゅうがぷかりと顔を出した。
そしてゆらゆらと娘に近付くと、やじゅうは娘に杼を突き立てた。
娘は悲鳴を上げ、その場に倒れこんだ。横たわった娘は動かなくなった。
とその時突然、娘の身体が白く光り、やがて氷が砕けるように消えてしまった。
そしてやじゅうは、ようやく命からがらぼんやり村に戻ってきた。
やじゅうの着物はあちこち裂け、顔や手足は血と泥にまみれていた。
そしてそれでいながら、あめ色の見事な杼をひとつしっかりと握りしめていたそうだ。
それからも、鬼怒沼には春から夏にかけて見事な花が咲き乱れ、人を夢見心地に誘いこむ。
沼には機織り姫が住み、うっかりのぞき見すると恐ろしい祟りがある、ということだそうだ
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