みょうがの宿は古典落語にも見える話。

みょうがの宿 についてのコメント&レビュー投稿
昔、安芸の宮島の厳島神社(いつくしまじんじゃ)へ続く街道筋に、とても欲深い夫婦が一軒の宿屋を営んでいた。強欲ぶりが旅人にもわかるのか、客はめったに来なかった。 その宿に...…全文を見る

みょうがの宿は古典落語にも見える話。

投稿者:マルコ 投稿日時 2014/3/25 18:07
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では、どうして「ミョウガを食べると物忘れがひどくなる」と言われるようになったのでしょうか。まずは古典落語にある「茗荷宿(みょうがやど)」というお話から調べてゆきましょう。

 昔、ある宿場町(しゅくばまち)に大きな宿屋(やどや)がありました。この宿屋の老夫婦は、一人娘に婿養子を取りました。この婿は、始めはよく働いて客あしらいも良かったので、宿屋は繁盛が続きます。

ところが、老主人夫婦が亡くなって、若夫婦の代になると、この婿は道楽を覚えて商売そっちのけ。借金がかさみ、雇い人も辞めてしまい、旅館も人手に渡ることになりました。

 しかし夫婦は別れもせず、残ったお金を元手に、宿場町から離れた場所で「茗荷屋」という安い宿をはじめました。婿は心を入れ替えて、またよく働くようになりましたが、町から遠い場所で客は少なく、宿賃(やどちん)も安いので、夫婦は貧乏暮らしの日々。

 そんな茗荷屋に、ある日、よい身なりの客が来ました。客はおかみにずしりと重い荷物を預けました。おかみがこっそり中身を調べると、中は絹の反物と三百両もの小判の入った財布。おかみは持って逃げようかと亭主に相談しました。しかし、捕まれば身の破滅は必定。

 そこで二人は茗荷屋の名にかこつけて、「今日は先代の命日なので、屋号に因んでミョウガづくしの料理を作ります」と言って、ミョウガをたくさん食べさせ、預かった荷物のことを忘れさせようと考えました。

出した料理は、ミョウガの炊き込み御飯、ミョウガの卵とじ、ミョウガ入り味噌汁、ミョウガの漬け物、ミョウガのてんぷら、などなど。客は、おいしいおいしいとミョウガ料理を全部食べました。

 さて翌朝、先を急ぐ客はわらじもはかずに、飛び出していきます。「しめた!」と夫婦が喜んだのもつかの間、先ほどの客が慌てて戻ってきました。道を歩いていると、足の裏が痛いので、宿でわらじをはかずに出たことに気付いて戻ってきたのだと言います。客はわらじをはいて、また出て行きました。

夫婦がほっとしたところへ、また客が戻って来ました。街道を歩いていると皆、荷物を持っている、自分は荷物を持っていない、宿屋に忘れてきたことに気が付いたというのです。宿の夫婦はしぶしぶ反物と財布の入った荷物を渡しました。

 おかみ「あーあ、当てが外れたね。ところで、お前さんもミョウガをたくさん食べたけれど、何か忘れ物をしていないかい?」

 亭 主「あっ! しまった! 宿賃をもらうのを忘れた! 」

 この落語はどこかの民話から題材をとったようです。その民話の元は、お釈迦(しゃか)さまの弟子・周梨槃特(すりはんどく)という人についての仏教説話だと言われています。昔、お寺では僧侶による節談説教(ふしだんせっきょう)が広く行われました。日本の民話や話芸は、この節談説教に由来するものが多いといわれます。さて、その茗荷宿の大元になった仏教説話というのは・・・・・、
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