Re: 雪姫・紅葉姫
投稿者:マルコ 投稿日時 2013/8/10 14:44
雪姫・紅葉姫の伝わる釜ヶ淵のもう一つの伝説です。
【竜宮城の貸し椀】の伝説
勝山の釜が渕っつうどこは、言ってみだらわがっぺきっとも、底が見えねっくれ暗くて、気味悪いっくれ深えとこなんだよ、ほんだきっと、昔はもっと深がったっつうぞ。ほれもほのはずだんべえ。ほっからは竜宮城までつながってだっつうがら。
竜宮城の乙姫さまは、気立てがどでもええ神さまだから、村の者が何かに困って願えごとすっと、何でも貸してくれたんだど。
えづのこったがぁ、村の者が人寄せごとしっぺって思ったんだきっと、茶碗が足んなくて困ってたんだと。ほんで、ほうゆう時は、竜宮城さ向がって願えごとしれば、何でも貸してくれるっつうごとを聞いたもんだから、釜が渕さ行ってお願えしたんだと。
「茶碗一〇〇ぜん貸しておごれ」って三べんお願えしたんだと。ほしたら、おったまげっぺ、水ん中から、ポガン、ポガンちて茶碗が浮がんできたんだと。一い二う三い四おと浮がんで来ちゃあ、川のへりっこさ寄って来たんだど、ほの人はさっそく拾って、ほれを人寄せごどにつかったんだど。
人寄せごどが終わってがら、ほの人は茶碗を返しに行ったんだど。
「おかげさんで大助かりしやんした、ありがどうでやんす」ちて、ちゃんと御辞義して、ザブン、ザブンちて釜が渕さ向がって、茶碗を流してやっと、ぐるんぐるん回って、底さ沈んでったんっだど。一回目は大助かりして、ほの後も、ほやって村の者も茶碗借りたんだど。
ある人が、また茶碗一〇〇ぜん借りて、返しに来た時のこどなんだど、えづものよおに、一い、二う、三いと数えて釜が渕さ向がって、茶碗をほん投げでえだんだきっと、お終(しま)えの一つになった時、ほれがとでもきれえな茶碗だったもんだがら、返すのがもったえねぐなっちたんだど。一つぐれ、えがんべやって思ったんだんべ、ほんで、ほの一つを懐さ入れで家さ帰ってきっちたんだど。
ほれがらしばらぐしてがら、まだ茶碗借りに釜が渕さ行ったんだきっとも、ほれがらっちいもんは、何も浮がんでこねがったんだど。ほんで何べんも何べんも頼んでみだんっだきっと、やっぱし何も浮がんでこねがんったんだど。誰が釜が渕さ行って乙姫さまにお願えごどしても、何も出てこねぐなっちまったんだっつうこった。
きっと、乙姫さまが、よっぽど怒って、釜が渕と竜宮城がつながってっとこをふさえっちたんだんべなぁ。