Re: 雪姫・紅葉姫
投稿者:マルコ 投稿日時 2013/8/10 14:05
【雪姫と紅葉姫】の伝説
昔々なぁ、どごの国でも、年がら年中、戦さばっかし、やってだころのこどなんだど。
ほのごろ、勝山のお城を守ってだお殿さまに、器量よしの二人のお姫さまが居だんだど、姉さまは色白だったんで「雪姫」って呼ばれ、妹の方は赤えほっぺだしてだもんだがら「紅葉姫」って呼ばれでだんだど。
ほの勝山のお城も、回りの国がら攻められだもんで、お城の家来はみんなして戦がったんだきっとも、とおとお負げちったんだど。
お殿さまは二人のお姫さま呼ばって「お城から逃げでげ」っちだんだきっと、二人はえづまでもお殿さまの言うとおりしねがったんだど。
ほのうぢ、お殿さまも家来だちも、討ち死にしたり、切腹したりして、死んちったんだど。
雪姫は、敵にとっ捕まるぐれだったら、死んちった方がええやっちて、紅葉姫と一緒にお城追ん出て、高え崖の上がら、がままえでる(渦巻く)釜が渕さ、抱き合って飛び下りたんだど。
ほれがら随分と年がたって、こご通る船乗りだちは、仲良ぐ泳えでる白え鯉と赤え鯉をよぐ見がげだんだど。勝山の城が負げだっつう話を聞いでだ人だぢは、白え鯉は姉さまの雪姫で、赤え鯉は妹の紅葉姫じゃながんべがっちて話しながら、船をこえだんだど。
ほれからまだ長えこどだって、鯉の話も忘れかげっちたころのごど、源じいさんつう漁師が、こごらにすんでたんだど。ほの日も大川(鬼怒川)さ漁に行ったんだきっと、なじょしたこったが、ほの日に限って、からっきし魚が取れながったんだど。しゃあねえがら、だんだん川下って釜が渕あだりまで来たらば、日が暮れっちまたんだど。こごらで一網打ってから帰っぺって、川っぺりから網打って、さで引き上げっぺとしんだきっと、ながなが上がんねんだど。力えっぺえたぐり寄せでみだらば、網の中にゃ、白くてでっけえ鯉がかがってだんだど。
思えがげねえ漁に、源じいさんは嬉しぐって、帰る気んなったらば、「雪姫、雪姫」って呼ばる女っこの声がしたんだど。振り返っても何も見えねし、水の音しかしねんだど。源じいさんが、まだ歩ぎ出す気んなったら、まだ「雪姫」って声がしたんだど。ほの後も、帰る気んなっと呼ばる声が聞けで、ほすっと源じいさんも、ちっと気味悪ぐなっちったんだど。三回目の声が聞けで振り返った時、白え鯉が源じいさんのはげごん(かごの一種)中から飛び上がって、川ん中さ逃げちったんだど。ほーして、ほれを待ってだみでに、赤え鯉が見えで、あっちい間に二匹の鯉は深えどごさむぐっちたんだど。
ほれから後、源じいさんは重え病気わずらって寝込んちたんだど。えぐら医者さまにかがってもなおんねで、苦しんでた晩に、源じいさんは変な夢見たんだど。えづがのあの白い鯉が出できて「はぁ漁はしねで下せえ」ちだんで、「わがったよ」ちたら、病気なおっちたんだど。
釜が渕にゃ、今でも、雪姫と紅葉姫が白え鯉と赤え鯉んなって、住んでんだどさ。