昔、信州の美しい奈良井川のほとりに、大金持ちの長者が住んでいました。子供がいなかった長者は、ある時不思議な夢を見ました。先祖が悪い事をしたので、その償いに何か良い事をすれば子供が授かるだろう、という夢のお告げでした。
そこで長者は、八幡原の村のために水を引いて、村で田んぼが作れるようにしてあげました。ある日、川から可愛らしい男の赤ん坊が流れてきました。この赤ん坊は長者の宝として大切に育てられ、村でも評判の美少年に育ち、「ちご様」と呼ばれるようになりました。
ある年の事、雨が降らず大凶作の秋の暮れ、一人の女乞食が村を訪れました。この女は、十年前に川に男の子を流したという、ちご様の母親でした。女は一目だけでも我が子を見たいと、長者屋敷の井戸を借りに立ち寄りました。すると、庭に出ていたちご様は、汚い身なりの女を棒でたたきのめし、水も飲まさず外へたたき出してしまいました。
その夜から大雨が降り始め、やがて奈良井川を氾濫させ、長者屋敷を押し流しました。長者屋敷は跡形もなくなり、ただ一つ井戸だけが残されました。数年後、井戸の周りに赤紫の小さな花が咲き、この花の可愛らしさから「ちごちごの花」と言うようになりました。
(紅子 2011-12-15 0:31)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 長野県 |
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場所について | 長者屋敷の跡地 |
講談社の300より | 書籍によると「長野県のお話」 |
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