昔、越後の山あいの川を、簀巻き(すまき)にされたお地蔵様が流れてきた。このお地蔵様は、肥やし桶(こやしおけ、肥料のための糞が入った桶)を担いで前を通ると、必ず桶がひっくり返る、という訳有りだった。
お地蔵様は、最初に竹の茂る村に流れ着いたが、村人たちは「そんな厄介者はお断りだ」と、竹竿で突き戻し再び川に流してしまった。またまた川に流されたお地蔵様は、もっと下流の貧しい村に流れ着いた。しかしこの村では、厄介なお地蔵様だと知っても、大切にお祀りする事にした。
その夜、お地蔵様の歓迎会を開いた際に、村の若者がお地蔵さんの腕をうっかり折ってしまった。もしや罰が当たるのではないかと心配しながら、村人たちは仏具師に修理をお願いした。腕の折れたお地蔵様を見た仏具師は、昨夜このお地蔵様が夢枕に立ち、腕を治してくれるようにお願いされたと言い、修理を快諾してくれた。この話を聞いた村人たちは、きっと徳の高いお地蔵様に違いないと、もっと立派なお堂を建ててありがたく安置することにした。
それからこの貧しい村は、災いも無くなり作物は良く採れ、豊かな村になった。一方、竹の茂る村は、竹がすっかり枯れてしまい、竹は全く育たなくなった。
(紅子 2011-9-8 1:34)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第3集(DVD第12巻) |
場所について | 越後国 |
講談社の300より | 書籍によると「福井県のお話」 |
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