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No.1226
たいしこだんご
たいしこ団子
高ヒット
放送回:0775-A  放送日:1990年11月24日(平成02年11月24日)
演出:三輪孝輝  文芸:沖島勲  美術:安藤ひろみ  作画:三輪孝輝
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あらすじ

昔、出雲の国のある村に、お爺さんに先立たれ一人暮らしをするお婆さんが住んでおりました。お婆さんは、足や腰を悪くしてからというもの、田んぼ仕事も出来なくなり、日々の食べるものにも困るほど貧乏になっていました。

そんな11月も末にせまったある日のこと。一人のみすぼらしい格好の旅の坊さんがお婆さんの家にやってきて一夜の宿を頼みました。「食べ物はないけれど、せめて火にあたって体を温めてください」とお婆さんは快く家にいれてあげました。

囲炉裏の傍に座ったお坊さんを見てるうちに、お婆さんはふと、亡くなったお爺さんのことを思い出しました。「寒い日には団子汁だなぁ」と言ったお爺さんの事を思い出したお婆さんは、悪い足を引きずりながら隣の田んぼに入っていきました。そして、干してあった稲わらを一束抜き取って家に帰ってきました。

隣の家の田んぼには、くっきりとお婆さんの引きずった足跡が残っていました。お婆さんは、盗んだ少ない米でたった一つの団子を作り、なけなしの菜っ葉や味噌を使ってお坊さんに団子の味噌汁をふるまいました。その夜、お婆さんは田んぼに残った足跡の事が不安で、寝付くことができませんでした。

翌朝、お婆さんが戸を開けると、あたりは一面の銀世界で、田んぼの足跡も雪で見えなくなっていました。お坊さんは、「悪い足を手でさすって南無阿弥陀仏と唱えなさい。きっと良くなるから」と言って、また旅立っていきました。

そうして、お坊さんのおかげでお婆さんは足も腰もすっかり良くなり、日々の暮らしも良くなりました。この話を聞いた村人達は、きっとそのお坊様はお大師様に違いないと言い合いました。

そして、お坊さんが来た11月24日に団子汁を作り、お大師様を偲ぶようになりました。この団子汁のことを「たいしこ団子」と呼び、毎年この日には必ず雪が降るようになったということです。

(投稿者: もみじ  投稿日時 2012-8-28 2:04 )


ナレーション常田富士男
出典岡義重(未来社刊)より
出典詳細出雲の民話(日本の民話12),石塚尊俊、岡義重、小汀松之進,未来社,1958年09月15日,原題「たいしこ団子」,原話「福代雪子」
場所について出雲
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※掲載情報は 2012/8/28 5:01 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2020/8/5 23:59
この昔話と似たような話が、未来社の「茨城の民話・第一集」にも収録されています。
「十一月二十三日の雪」(真壁郡)という話です。
ぼろぼろの衣をまとったみすぼらしい旅僧が、貧しいおばあさんの家にやってきます。
おばあさんはひもじそうな旅僧になにか食べさせてやろうと、地主の畑に行って大根をひっこぬいてきて食べさせました。
畑についたおばあさんの足跡がわかってしまうのを案じた旅僧は、雪を降らせました。
この旅僧は智者大師でした。
毎年十一月二十三日に雪が降るのは、それがちょうどその日の出来ごとであり、いまもおばあさんの足跡を消してやろうとして降らせるのです。

智者大師は註によると、「智顗(ちぎ)(538-597)、中国の陳・隋時代の僧。天台宗の開祖、天台大師と呼ばれる。智者大師の号をおくられた。」と書かれています。
「お大師様」というとどうしても、弘法大師空海を連想してしまいます。
「たいしこ団子」や「あとかくしの雪」「藁の元結」はたしかに似たような話ですが、ひょっとすると中国の天台大師に関わりのある話なのかもしれません。
ゲスト  投稿日時 2017/3/5 16:29
こちらのお話は好きです。自分が罰される覚悟でお坊さんに施す。これだけでも功徳を積んだ事になります。それを抜きにしても、その心が何より身に染みるお話です。
ですが、こちらを含むカテゴリ名の「空海」に関しては、どうしても疑問が残ります。
何故なら、空海カテゴリに出てくるお坊さんは弘法大師前提であるようですが、その時点で別人であるからでず。空海が弘法大師と諡号されたのは、921年。彼が入定したのは835年ですから、百年近い歳月が経っており、生前に大師様と呼ばれるのはありえないからです。こちらのサイトでも、空海の足跡がある筈の四国、京都、和歌山には出てきませんしね。大師伝説がこれ程までに広まったのは、高野聖の活動もありますが、この人達は最下層の僧侶で俗っぽいもの。私は空海や最澄に興味を持ち、比叡山や高野山、善通寺に行った事もあります。そこで今なお生きている彼等への信仰を目にする事が出来ます。機会がありましたら、訪ねてみては如何でしょうか。何処も素晴らしく、お勧め出来ます。
beniko  投稿日時 2012/8/28 5:14 | 最終変更
ふむふむ、なるほど。その本には、類話もまとめてあるのですね。

もみじさんは、あとかくしの雪(No.0079)たいしこ団子(No.1226)と微妙に似ている、藁の元結(No.0929)もやはり同じお話が元になっている亜種タイプと思いますか?※亜種=類話

藁の元結は、つきぬ銭さし(No.0250)と同じアイテムが出てくるので、いろいろミックスされている感じはありますが、どっちの類話になっているのか、もし書いてあるのを見つけたら、また教えて下さい。
もみじ  投稿日時 2012/8/28 2:04 | 最終変更
「あとかくしの雪」にも書きましたが、「ガイドブック日本の民話」という本に解説が載っていたのを読む限りは、やはり、「あとかくしの雪」と「たいしこ団子」は類似話として良いでしょう。

同解説には、「雪が降ったこの日が旧11月23日で、いまでもこの大師講の日には、大根焼きをしたり、だんごやアズキ粥を食べたりする風習があります。また、この晩には必ず雪が降ると言い伝えられています。」
と載っていました。
因みに、大師講というのは11月23日から24日にかけて行われる大師様を祀る行事だそうです。

この類似話は、全国各地に見られ、仏教の普及で広く一般には「大師様=弘法大師」になっているようですが、もとは「大師様」自体が富を民衆にあたえてまわる神であったと言われているそうです。
また、登場人物として出てくる足の悪い貧しいお婆さんは足の悪いというところから山の神様の暗示ことでは?ということです。(・ω・)

伝承や民話的なルーツを知る面からも興味深い話ですが、このアニメ自体も、すごく良い話だなという感じでした。(もみじは涙もろいのです(^_^;))

まぁ盗みそのものは悪いですけど、一生懸命稲わらを取りに行くお婆さんを応援したい気持ちになっちゃったし、おばあさんもあとで村人に話してしまってるところからも、村人もお婆さんを責める気持ちはなかったということかと思いますね。(・ω・)♪
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