嫁っ田-農耕、信仰、伝説-
嫁田の伝説
静岡県には、「嫁」を題材とした伝説が多くある。「嫁っ田」(嫁が田)、「嫁殺し田」などという伝説で、馬の目ばかりの田といわれて、苗を植えにゆくと、それが非常に広い田で、嫁一人では植えきれない。夕方になって西に入る日を招いて植え終わり、その罰で死んでしまうという話である。
富士郡須津村(現富士市内)のお菊という嫁の一町六反の由来、駿東郡清水村(現清水町)の早乙女塚、庵原郡高部村(現清水市内)の嫁田、静岡市北安東の吉塚、そしてこの日坂の「嫁っ田」など、県内各地にある。
なぜこのように若い嫁が田で死ななければならないのか。三河の花祭や、信州新野の雪祭、磐田郡水窪町西浦の田楽などで、孕み女のまねをした者が出てくるが、これは嫁の子どもを産むという生産力を、その年の豊作に結びつけたものであった。嫁田も、直接、その田で嫁が死んだということより、嫁の子産みによって、その田の生産を願うということが根底にあるのではないだろうか。
http://www.ochakaido.com/rekisi/mukashi/muka5-1.htm