No.0976
おなみぐさ
お浪草
高ヒット
放送回:0615-B  放送日:1987年09月12日(昭和62年09月12日)
演出:三善和彦  文芸:沖島勲  美術:三善和彦  作画:三善和彦
岐阜県 ) 23464hit
愛するお浪を竜に連れ去られた男の話

昔々、岐阜県柿野、西洞のミツボリ山には主が住むと云われていた。その麓の村に、お浪という大層美しい娘がいた。お浪は源三(げんざ)という村の若者を好いており、二人の仲は誰もがうらやむ程だった。

ある者は二人を「あんまり仲良うしとるとミツボリ山の主がやきもち焼くぞ。」などとからかったりした。二人は夫婦になる約束も交わしていた。

泊まり込みの山仕事が続き、帰って来た源三が久しぶりにお浪に会うと、お浪の顔はばかに青ざめていた。心配する源三に、お浪は突然暫くの間会わないで欲しいと言う。源三はそれ以来お浪に会えなかったが、お浪の両親は毎夜源三がお浪の部屋に来ていると思っていた。

ある晩とうとう源三はたまりかねてお浪のところへ行くと、障子に竜の姿が写った。源三は仰天して逃げ帰ると、布団を被って震えていた。翌朝になってお浪がいないと大騒ぎになり、源三を始め村人総出で捜し回った。道端に落ちているお浪の手ぬぐいや櫛を辿っていくと、いつしかミツボリ山に入り、大きな穴の脇にお浪の草履があるのが見付かった。

源三は必死にお浪の名を呼ぶが、穴の中からは水の流れる音に混じって、かすかに女のすすり泣く声が聞こえるばかりだった。三十五日後、お浪は源三の夢枕に現れると源三との思い出を胸に主の元で暮らすとだけ告げて消えてしまう。それから暫くミツボリ山の辺りをフヌケの様に歩き回る源三の姿が見られたが、それもいつしか消えてしまった。

やがてミツボリ山から中又洞にかけて、お浪の辿った道沿いに白い花が咲くようになり、誰言うとなく「お浪草」と呼ばれるようになった。

(引用:狢工房サイト)


参考URL(1)
http://mujina.agz.jp/onami.html
ナレーション常田富士男
出典岐阜県
備考岐阜県山県郡に伝わる話(一川鉄夫)
場所について岐阜県山県市柿野(地図は適当)
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地図:岐阜県山県市柿野(地図は適当)
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※掲載情報は 2011/2/22 1:52 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全15件)
Perenna  投稿日時 2021/9/11 0:14
この昔話は、「日本の伝説34・美濃・飛騨の伝説」(角川書店)にも紹介されています。
「ふたたび川に沿って戻り、市場という所で西から流れこむ川をのぼること三キロ、美山町の柿野に入る。この村に柿野小町といわれたお浪という娘がいた。源三という若者と好き合った仲となり、祝言の日取りも決まった。ある夜源三がお浪の家へ行くと、部屋では灯がともり物音がするので、「お浪っ」とよぶと黒い大きな蛇がかま首をもたげてとびだした。驚いた源三は夢中で家へ帰った。その日から雨が降りだし、お浪の姿が消えた。何日かたって源三の枕元へお浪がきて「あなたが恋しい気持ちは変わらないが私はあの山に住む竜の子どもを七つも産んでしまいました。前のお浪の姿では会えません。あなたとの睦まじい所を竜に見られて、やきもちを焼かれ私は奪われてしまったのです」といって姿は消えた。そんなことがあってから柿野の付近はかわいらしい白い花が咲くようになった。そしてこの花をお浪草とよぶようになった。」と書かれています。
お浪が言った「あの山」というのは、いったいどこなのでしょうかね?
アニメでは「西洞のミツボリ山」となっていますが、このように具体的に地名が書かれた文献は存在するのでしょうか?
これからもこの昔話のことは意に留めて、出典探しをしてみたいと思っています。
ゲスト  投稿日時 2020/10/8 2:22
山の主といえば、「山のぬしと煮た笹の葉」が強烈な印象がありますが、
要はただの人さらいなんでしょうか?
Perenna  投稿日時 2020/6/18 22:44
この昔話は、未来社の「美濃の民話・第一集」にも収録されています。
「むかし、柿野という村に、咲いたばかりの水仙の花のような感じの、お浪という娘がおってのう、若い者んたあが、ひそかに「柿野小町」とうわさしとった。」という書き出しで始まっています。
西洞のミツボリ山という具体的な地名は書かれていませんね。
おそらくこのアニメは、地元の方が制作スタッフに投書をした話が元になっているのではないでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2016/3/7 15:01
元西洞の住人です 様

「祖父が元西洞の住人です。
西洞に有るミツボリは山掘で、サンボリは山の尾根を掘割った現状で我々は山掘とよんでいます。」

=教えて下さい=
ミツボリ とは、具体的な山の名前(場所名)ではなく、
「山の尾根を掘割った現状」の場所を全て、その様に呼んでいるということで良いのでしょうか?

また、「ミツボリ山の主」が祭られている場所、祠、神社 寺 等 在りますか?
この「お浪草」に関する史跡等在りましたらお教えください。
元西洞の住人です  投稿日時 2016/3/4 21:55
祖父が元西洞の住人です。
西洞に有るミツボリは山掘で、サンボリは山の尾根を掘割った現状で我々は山掘とよんでいます。
柿野在住者  投稿日時 2015/12/29 10:38
九合洞窟ではないです。実は柿野にも洞窟があって水が溜まっていて進めないものやどこへ抜けているかわからない洞窟があります。
ゲスト  投稿日時 2015/9/30 18:09
道端に落ちているお浪の手ぬぐいや櫛を辿っていくと、いつしかミツボリ山に入り、大きな穴の脇にお浪の草履があるのが見付かった。

この一文から、イザナギイザナミ神話の黄泉の国のお話の変形と解る。
また、 お浪(おなみ) = イザナミ から来ているかもしれない。
白い花 のくだりは、黄泉の国神話の原型である
ギリシャ神話 デメテルの冥界神話の 植物の育成繁茂の話しととてもよく似ている。
ゲスト  投稿日時 2015/9/29 19:05
龍王山 三光寺(さんこうじ)
岐阜県山県市(旧山県郡美山町)富永671-1 にある真言宗醍醐派の寺院である。
伝承によれば、大同年間に弘法大師がこの地に滞在したことがはじまりとされ、江戸時代明暦年間(1656年頃)、春長律師が霊跡の再興を行っていた際、この地の武儀川(長良川支流)の渕で輝くものを見つける。村人とともに淵を探すと、薬師如来像、阿弥陀如来像、聖観音像の三体の仏像が埋もれていたという。これらの仏像を安置し、三光寺と名づけたという。
美濃三十三観音霊場第八番札所。美濃四国札所七十四番。
通称、山あじさいの寺、あじさい寺。境内には140余品種9千株の山あじさいが植えられ、この地方では最大規模という。6月初旬~7月初旬が見ごろである。この時期には毎年「あじさい祭り」が開催される。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%85%89%E5%AF%BA_(%E5%B1%B1%E7%9C%8C%E5%B8%82)
http://sankouji.main.jp/


龍王山 ≒ ミツボリ山の竜
柿野 と 富永 は近いです。
柿野西洞集落の最後人々は富永に移住したそうです。
昔も移住した人々が竜を信仰していて「龍王山」と名前を付けたとも考えられます。
ここは竜 繋がりで、関連性があるやもしれません。
ゲスト  投稿日時 2015/9/29 14:54
北山 岐阜県山県市柿野 標高 907.5m (最高点 927m)
西洞谷 → 中又の谷出合(登山口) 花がたくさん咲いている山道
http://flowerniwa.mond.jp/2007-h/kitayama-4-22/kitayama.htm
http://www.jalps.net/non/chuubu90_page2/kitayama.html
http://yamaaitele.digi2.jp/m-0007.html


ミツボリ山 と北山 は、
中又洞 = 中又の谷出合(登山口)
お浪の辿った道沿いに白い花が咲く
= 山道にたくさんの花が咲いている
とあり、合致点が多い。
ミツボリ山は 北山であり、相戸岳ではないかもしれない。
ゲスト  投稿日時 2015/9/29 14:12
鍾乳洞住居跡である九合洞窟 (くごうどうくつ)
 鍾乳洞住居跡である九合洞窟は、岐阜県山県市美山町谷合にあります。洞窟内から縄文時代や弥生時代の土器の破片が出土していることから住居跡といわれている。入口の幅約15m・奥行約30m・高さ約5m八畳洞と六畳洞がある。地域の人の言い伝えでは井戸と云われていた縦穴や抜け穴もあるという、洞窟の上の方へ二つの穴が開いている一つの穴は人が這って抜けられるがもう一つの穴は抜けられないようである。しかし、洞窟内で火を焚いていたことから煙を排出するための穴と考えられるが詳しくは分かっていない。
 戦後、洞窟が地域の子ども達の遊び場になっていたようです。洞窟の上の方へ這って穴を抜けたり、井戸と云われている縦穴に入ったりして遊んだそうです。
http://www.geocities.jp/npnfw960/sakura/miyama/4.htm


お浪 は、こんな所に行ったのでしょうか。
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