No.0949
さんしょくつつじ
三色ツツジ

放送回:0597-B  放送日:1987年05月02日(昭和62年05月02日)
演出:大竹伸一  文芸:沖島勲  美術:渋谷幸子  作画:大竹伸一
熊本県 ) 15961hit
溺れ死んだ娘の化身である、三色の花が咲くツツジの話

昔、天草の栖本(すもと)の白戸海岸に、きれいな若い娘の水死体があがりました。肌は白く透き通り、鼻筋もとおった美しい顔立ちをしておりました。

村人たちは、この見た事もない娘を可哀そうに思って、海が見渡せる丘の上に墓を作ってあげました。そして数年がたち、不思議な事に娘の墓から一本のツツジが芽を出しました。このツツジは、花の色が赤白黄色と三色に分かれていて、とても美しいツツジでした。

ある日、一人の村人がどうしてもツツジの花が欲しくなり、一枝だけ折って自宅へ持って帰りました。するとどうしたことか、村人の腹が痛みだし、ツツジの花はその日のうちにすっかり枯れてしまいました。このツツジは誰が折っても、同じように腹が痛みだすという事が続くようになりました。

何だか薄気味悪くなってきた村人たちは、お坊さんを呼んでツツジにお経をあげてもらいました。村人たちは、念のために和尚さんにツツジの枝を一枝折ってもらうと、まもなく和尚さんの腹が痛みだしました。

村人たちは「お経の功徳も効かないので、このツツジはあの死んだ娘の化身に違いない」と考えました。あの若さで死んでしまって、きっと心残りだったに違いないと、村人たちは娘の事を憐れみ、墓を大切にしました。

(紅子 2012-8-3 2:21)


ナレーション市原悦子
出典浜名志松(未来社刊)より
出典詳細天草の民話(日本の民話47),浜名志松,未来社,1970年03月20日,原題「三色ツツジ」,採録地「栖本町」,話者「小島きえ子」
場所について天草の栖本(地図は適当)
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地図:天草の栖本(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/8/3 2:21 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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araya  投稿日時 2011/12/3 14:15
話中に「天草の栖本の白戸海岸は…」とあり、娘を「近くの海を見渡せる丘の上」に弔ったとのことですので、白戸海岸は熊本県天草市の栖本町と下浦町の境にある白戸漁港のあたりであろうかと。また、娘の墓所の正確な位置は不明ですので、とりあえず、国土地理院の地図から海岸(漁港)を見渡せる一般墓地のあたりでポインティングしました。

http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=130.25156944531&latitude=32.391997099869

http://g.co/maps/95me9
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