昔ある橋の近くに金持ちが住んでいた。
ある時見なれない男が橋のたもとをうろうろしているので金持ちは、何をしているのか聞いてみた。すると男はこの橋のが朝の六つ時に光るのでそこに宝が隠れている。だから朝六つに探しに行けと夢のお告げがあったから探しているのだと言う。
それを聞いた金持ちは、そんなお告げがあるものかと笑ったが、少し気になった。と言うのも自分の家には先祖代々伝わる金の狐の置き物があり、男はそれを狙っているのではと心配になったからだ。
そこで男を追っ払う手立てはないものかと考えた末、秘密裏に職人を頼み偽の置き物を作って橋のたもとに置いておくことにした。 そして偽者が完成し、ある夜橋のたもとへ置いておいた。次の朝金持ちが橋を眺めていると、案の定男が現れ偽の置き物を持っていった。金持ちはこれで家も安心だと笑った。
しかしその後金持ちの家は番頭が金を持ち逃げしたり、泥棒に入られたり、終いには火事にあって家の全てを失ってしまった。なぜ災難続きなのか占ってもらった所、先祖代々の宝を捨ててしまったために災難が続いたと言われた。その時初めて金持ちは、偽者と間違えて本物の置き物を捨ててしまったと気付いたがもう遅かった。
とうとう金持ちは家を捨て、どこ行くあてもなく旅に出た。そして偽の置き物は橋のたもとへ捨て、それ以来その橋のたもとは朝の六つ時になるとぼんやりと光るようになったそうだ。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 美濃・飛騨の伝説(角川書店刊)より |
出典詳細 | 美濃・飛騨の伝説(日本の伝説34),早船ちよ,角川書店,1979年5年20日,原題「誰がうそ八百を」朝六橋とガタガタ橋 |
場所について | 朝六橋(地図は適当) |
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