昔、ある村に「どんどこ」とよばれる薄気味悪い杉木立があり、そこには古いお堂の跡がありました。そしてこの村には、炭焼きの男と幼い娘が住んでいて、男はいつも重荷を背負ってすっかり腰が曲がっていたので、みんなから”じっち”と呼ばれていました。
ある春の夜のこと、町に炭を売りに行っての帰り道のどんどこで、阿弥陀様がドサッとじっちの背中におぶさってきました。じっちが阿弥陀様が指さす方向へ歩いていると、いつの間にか阿弥陀様はいなくなっていました。
何日も続く不思議な出来事に「きっと昔どんどこにあったお堂の阿弥陀様だろう」と思った村人たちは、みんなで相談してお堂を建て直すことにしました。早速、朽ち果てていた古いお堂を片づけていると、がれきの下からあの阿弥陀様が出てきました。阿弥陀様を新しいお堂におまつりして、じっちは毎日手を合わせました。
何年もの年月がすぎ、じっちは本当のじっちになりました。娘も大人になり沢山の孫が産まれ、じっちは幸せでした。村の人たちは、この男をうやまい親しみを込めて「おんぶのじっち」とよんで、後々まで語り伝えました。
(紅子 2011-12-17 0:39)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 茨城県 |
講談社の300より | 書籍によると「茨城県のお話」 |
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