No.0051
たびびとうま
旅人馬
高ヒット
放送回:0029-A  放送日:1976年04月24日(昭和51年04月24日)
演出:今沢哲男  文芸:沖島勲  美術:山守正一  作画:鈴木欽一郎
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あらすじ

金持ちの息子の栄助と貧しい家の五郎の仲良し二人が楽しく旅をしていた。

二人はある宿屋に泊まるが、その夜、五郎はなかなか寝付かれなかった。すると宿屋の女将が起きてきて、囲炉裏の灰に種を播いていた。すると稲が伸びてきて、女将はその稲から団子を作った。翌朝、その団子を栄助が食べると栄助は馬になってしまった。五郎は一人で這々の体で逃げ出した。

ある農家のお爺さんに話をすると、「東に歩いていくと、大きな茄子畑があり、一本の木に七つの実が一度に東に向いてなっている茄子があるから、それを友達に食べさせると良い。」と教えてくれた。何日もかけて言われたとおりの茄子を探し当てた五郎は、女将の留守に宿に戻り、馬なった栄助に茄子を食べさせると、栄助は無事に人間に戻った。

そしてその後も旅を続けた二人は、何年か後に村に帰り、栄助は財産の半分を五郎に譲り、兄弟のように仲良く暮らした。

(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:44 )


ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第4集(DVD第16巻)
VHS情報VHS-BOX第3集(VHS第23巻)
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追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第15巻-第073話(発刊日:1977年5月15日)/国際情報社BOX絵本パート1-第048巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第026巻(発刊日:1978年4月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「九州地方の昔ばなし」
レコードの解説よりLPレコードの解説によると「九州地方の昔ばなし」
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※掲載情報は 2012/8/14 5:45 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
ゲスト  投稿日時 2022/2/2 15:08
いいえ、鬼女に化けた宿屋の女将より貧しい家の子供・五郎ほうが怖いわ。
人間に戻って友情して助けるなんて。
ゲスト  投稿日時 2020/8/23 20:38
世界昔話に 中国のお話しとして ロバになった旅人とゆうお話しがあり 大変似ています
ゲスト  投稿日時 2014/10/5 19:34
http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/kagakufudoki15.html
(サイエンスと歴史散歩 
泉鏡花(金沢出身の作家)にまつわる歴史物語、高野聖、四国の辺地を通る僧(今昔物語)、とは(2009.7.9)
抜粋)

鏡花の高野聖では、高野の旅の僧ではなく、道連れの男(富山の薬売り)が、妖艶な美女によって馬に変えられますが、一方、鏡花も愛読したと思われる、平安の後期に出た、今昔物語では、京の仏道修行の僧が、四国の深山で、妖怪の僧によって馬に変えられる話となっています。

(解説) 京の三人の仏道修行の僧が、四国の僻地(へきち)、それは伊予(いよ)、讃岐(さぬき)、阿波(あわ)、土佐(とさ)の海辺に沿ったところですが、思いがけず深い山中、人跡絶えた深い谷(異郷)に迷い込み、そこの宿泊を頼む一軒家には、60才余りの妖怪のような僧がいて、怪しげな法師に、二人の僧の肌を鞭(むち)で百回叩かせ、次々と馬に変えさせたが、一人の僧(日頃頼みにしていた本尊に、どうかお助け下さい、と心の中で祈念し続けた)だけが、途中二人の女(鬼の妻と妹)にも助けられながら、這々(ほうほう)の体(てい)で、逃げ帰ることが出来たという話です。 

 かの修行者は、そこから国々を回って京に帰って、馬になった二人の同学の僧のため、特に念入りに供養を営みました。実際に人をたたいて馬に変えるなど、信じられない。そこは畜生道(仏教の六道の一つ、牛馬など畜生の世界で、ほとんど本能ばかりで生きており、自力で仏の教えを得ることの出来ない)などであっただろうか、と僧は考え込みます。

人間の心の発達段階を表した、空海(57才)の十住心論(じゅうじゅうしんろん、830年(天長7年)、秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)、要約版)中の第一住心、異生羝羊心(いしょうていようしん、愛欲、衣食住のことしか頭に無く、何も考えず本能のままに生きている)に相当するものです。

 この種の伝承は、「人馬」(狂言)、「旅人馬」(日本昔話大成250)にも取り入れられています。また、古くは、「利養品下」(出曜経、15)、「唐代の板橋三娘子」(太平広記、286)、「人の子、親の為に宝とみゆるためし」(宝物集、一)の条項にも出ています。
 人間道 は、人間が住む世界で、四苦八苦に悩まされる苦しみの大きい世界ですが、苦しみが続くばかりではなく楽しみもあり、仏になりうる救いもあるという。仏教では、人間の迷いの輪廻の世界として、この他、修羅道 (しゅらどう)、餓鬼道(がきどう)、地獄道(じごくどう)があります。
 思うに、いかに身を捨てて修行するとは言っても、やたら不案内な土地(異界)に行ってはならぬものだとの、かの修行者が実際に体験した話の教訓です。
ゲスト  投稿日時 2014/10/5 19:05
http://www.mukashi.info/shiryoshu/tabibitouma_shiryo_01.html
旅人馬は、「今昔物語集」や「宝物集」などに記された大変古い昔ばなしである。これらの古文献に記された内容と今日語られている話では多少性格が異なるが、長きに渡り語り継がれる間に、それぞれの土地の風土や慣習に合わせてゆるやかに変化したのであろう。
 日本各地にいくつもの類話があるなかで、今回は鹿児島県で語られている旅人馬を取り上げたが、主人公を例にとるだけでも、僧・尼・和尚・武者修行の男・旅人など様々である。

 話の内容についても同様で、鹿児島県や岡山県など西日本においては今回の話のような逃鼠譚であるが、それに対して福島県や秋田県、岩手県など東北地方においては主人公が悪事を働き神罰を受けて馬や牛に姿を変えられてしまうという応報譚である。逃鼠譚では馬に姿を変えられた同行者を人間に戻し逃げ出すことで話が終わるが、応報譚では旅人を馬にしようとした婆が逆に、旅人の機知により馬に変えられてしまうことが多い。旅人馬のように人間が動物に姿を変えられてしまう話はヨーロッパや中国には多く残っているが、日本の昔ばなしとしては珍しいものである。

 この昔ばなしは「今昔物語集」にも登場大変古いものですが、明治時代の人気文学である「高野聖」の著者である泉鏡花が、その小説の題材として取り上げたことでも有名です。主人公たちを馬にしようとした山姥は、その後も不幸な旅人たちを馬にしていたのでしょうか。悪人のその後が語られていないこの話は、色々な想像を膨らませてくれます。
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