太古の昔、人々が信濃に住み始め、開拓に汗を流していた。
ここに、人々を束ねる若くてたくましい長(おさ)がいた。さて、長のもとに夜な夜な一人の女が通うようになるが、女の素性はわからなかった。ある夜、長は別れ際に糸の付いた針を女の服の裾に刺した。翌日、糸をたどればそれは山中の岩屋まで続いていた。女の正体は龍の化身だったのだ。正体を知られると女はそれっきり男のところには現れず、やがて長も死んでしまう。
ある日、産川(うぶがわ)から赤ん坊が流れてきたのをお婆さんが拾い上げ、小太郎と名前を付ける。小太郎が成長してしばらくすると、婆さんもまた病で亡くなってしまう。一人ぼっちになってしまった小太郎は、昔お婆さんが「お前は千曲(ちくま)の湖に住む龍の子どもに違いない」と言っていたことを思いだした。
そこで小太郎は、千曲の湖のたもとに行く。湖に向かって「おっかあ」と叫ぶと、湖面に一人の女が現れた。小太郎はこの湖を田んぼにして、百姓の役に立ちたいと申し出る。母親はこの湖が無いと生きてはいけないが、お前の望みを叶えるためにこの地を後にすると決心する。
そして母龍は体当たりで山を切り崩し、湖の水を流して土地を切り開いた。その後、母龍と小太郎はどこかへと姿を消してしまった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:44 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第5巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第3集(VHS第29巻) |
現地・関連 | お話に関する現地関連情報はこちら |
場所について | 龍神湖(長野県大町市平字) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第7巻-第032話(発刊日:1976年9月10日)/童音社BOX絵本_第34巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第034巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第13巻-第51話(発刊日:2006年8月8日)/講談社テレビ名作えほん第004巻(発刊日:1977年8月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「長野地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「長野県の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍によると「長野県のお話」 |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「長野地方の昔ばなし」 |
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