昔、現在の埼玉県狭山市柏原の中宿というところに、大変綺麗好きなお婆さんが住んでいました。
どれだけ綺麗好きかというと、少しも汚れていないのに毎日大掃除をするだけでなく、掃除道具を担いで村へ出歩いては、他人の家に勝手に上り込んで掃除をするほどでした。村人たちは、お婆さんの行動を迷惑がっていましたが、綺麗好きを悪く言うわけにもいかず困り果てていました。
ある日のこと、お婆さんは村外れの大六天さまのところへやってきました。子供たちが大六天さまの前でおもちゃを散らかして遊んでいることが許せず、おもちゃを取り上げてしまいました。家に帰ったお婆さんが、子どもたちから取り上げたおもちゃをかまどの中へ入れて燃やそうとした時、身体中に痛みが走り自由が利かなくなりました。
夜になっても痛みで苦しんでいると、身なりが不潔な男が姿を現しました。この汚い男は「綺麗好きなのは悪くはないが、人に押し付けるのは良くない。せっかく子供たちが、わしの前を散らかしてくれたのにお前は片づけてしまった」と言って、姿を消しました。お婆さんは汚い男の正体が大六天さまだと気づきました。
翌日、お婆さんは痛みに苦しみながらも大六天さまの広場に来て、取り上げたおもちゃを散らかしました。すると痛みは消えて普通に身体を動かせることが出来るようになりました。それからのお婆さんは、自分の家だけを綺麗にするようになりました。
その後、大六天さまの広場は以前にも増して散らかるようになり、この変わった神様のことを「ちらかしさま」と呼ぶようになりました。今でも、大六天さまの石碑の前を片づけたり綺麗にしたりすると、その人は祟りに遭い、怪我や不幸に見舞われると伝えられているそうです。
(投稿者: Kotono Rena 投稿日時 2013-09-01 21:08)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 埼玉県狭山市 |
DVD情報 | DVD-BOX第10集(DVD第50巻) |
場所について | 狭山市柏原1084番地(大六天=ちらかしさま) |
本の情報 | 国際情報社BOX絵本パート2-第079巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第078巻(発刊日:1987年6月) |
講談社の300より | 書籍によると「埼玉県のお話」 |
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