No.0031
りゅうのふち
龍の淵
高ヒット
放送回:0016-A  放送日:1976年01月24日(昭和51年01月24日)
演出:小華和ためお  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次(青木稔)  作画:金沢比呂司
宮崎県 ) 76847hit
あらすじ

日向国の米良(めら)の庄に漆取りの兄弟がいた。兄が漆の木を探して山の中を歩いていると、気味の悪い淵に出た。兄はうっかり鉈を淵に落としてしまい、淵に潜って探しているうちに、淵の底に良質な漆が溜まっているのを見つけ大喜びする。

それを町に持っていくとたいそうなお金が手に入るので、その日から兄は人が変わったように怠け者になってしまった。弟にはそのことを秘密にしていたが、ある日、怪しく思った弟は、兄の後をつけて淵の漆のことを知る。そして弟も兄同様に怠け者になってしまった。

兄は弟に漆のありかを知られたのを面白く思わず、淵の底に木彫りの龍を沈めて弟に漆をとらせないようにした。翌日弟が淵に潜り、木彫りの龍を見て本物の龍と間違えて逃げて帰った。

それを見てしてやったりの兄が漆を取ろうと淵に潜ると、木彫りの龍が動き出し、兄に襲いかかった。慌てて逃げだすが、自分の作った龍が動くことを信じられず、もう一度潜るが、やはり龍が襲いかかってきた。兄はやっとのことで逃げ出した。

その後、龍は、深い淵に戻ったまま二度と姿を現すことはなかった。

(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:33 )


参考URL(1)
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000095219.pdf
ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第11集(DVD第55巻)
VHS情報VHS-BOX第2集(VHS第19巻)
場所について児湯郡西米良村大字小川(地図は適当)
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地図:児湯郡西米良村大字小川(地図は適当)
追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第1巻-第002話(発刊日:1976年4月30日)/二見書房まんが日本昔ばなし第7巻-第26話(発刊日:2006年2月21日)/講談社テレビ名作えほん第033巻(発刊日:1980年12月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「宮崎地方の昔ばなし」
講談社の300より書籍によると「宮崎県のお話」
レコードの解説よりLPレコードの解説によると「宮崎地方の昔ばなし」
このお話の評価9.2222 9.22 (投票数 9) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/8/14 14:33 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全10件)
インドメタシン  投稿日時 2022/1/30 15:25
なんとなく、タッチがルパン三世を思わせるな…と思ったら、作画がルパン三世などを担当していた金沢比呂志さんでした。
ゲスト  投稿日時 2019/1/15 15:02
かなり幼かったときに見たせいか当時、漆というものが理解できませんでした。
そのため、兄が漆を金に変えて家で酒を飲んでいる場面を、淵の底で採った得体の知れない液体はたいそう美味で、それを兄が美味そうに飲んでいると誤解していましたw
ゲスト  投稿日時 2018/8/5 11:55
小学校の教科書に載ってた。「木竜漆」って名前だったと思う。
はなののののはな  投稿日時 2018/8/4 1:39
この昔話も、たぶんはじめて知りました。
龍が木彫りに宿ったのでしょうか。
その後の兄が気になります。
ゲスト  投稿日時 2018/5/10 21:06
こはなわためお作品第一作。
ちゅんこ  投稿日時 2018/3/15 21:13
大学で林業を専攻していた父が「このように淵の底に漆が溜まるのは正しい」と言っていました。
わたしはあまり詳しくないのでわかりませんが…
ゲスト  投稿日時 2017/11/9 12:32
最初に見た時は(当時は小学校低学年)、お兄さんがとても悪い人のように思えました。何で弟に教えて分け合わないのか、と。木彫りの龍作りを思いついた時は、逆光のように真っ黒になって笑う場面もありましたし。
しかし今は、やっぱり愚かな話だとは思いますが、
きょうだいの関係って複雑だよな、
とか
人間は利益が絡むとこうなってしまうものなのかも、
とか
いくら自然の豊かな恵みがあっても、人間がよく考えずにとり過ぎたり奪いあったりすれば、枯渇して、いつかは人間も滅ぶことになる、
とか
考える、よくできた話とも思います。

まんが日本昔ばなしでは珍しく、人間のデザインが現実的ですね。
龍の鳴き声と水の音(飛沫、水中音)が好きです!
ゲスト  投稿日時 2014/12/23 12:17
彫像って彫った人の思念が宿ると言われています。
兄者は漆を独り占めにしようと考えながら彫ったから
あのような結果になったんでしょう。
兄弟仲良く分け合えばこんな事にはならなかったでしょうね。これは漆だけでなく親の遺産とか他に宝物とかあったらこの兄弟だと奪い合いどころか殺し合いにまで発展しそうですね。
人間の欲と愚かさがよく出ており、考えさせられるお話でした。
西米良  投稿日時 2013/9/30 22:53
宮崎県西米良村小川地区に実在します『蛇淵』に伝わる話ですよ!

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000095219.pdf
mitsuzakura  投稿日時 2011/12/10 19:37
「龍の淵」ですが、youtubeのコメント欄によると、国語の教科書に収録されていてよく知られたお話とのことでした。伝説は広く全国に伝播しているようです。日向の国、米良の庄とあるので、そこにもやはり伝説の舞台となる淵があるのかもしれません。


以下余談。

「島根の伝説」(日本標準)でも全く同じ粗筋のお話が収録されています。「頼太水(よりたみず)」という島根県安来市(能義郡広瀬町)の伝説で、こちらでは雄渕・雌渕の二つの渕があったとされています。ちなみに現在はダム湖に水没してしまったそうです。

「日本伝説大系 第11巻 山陰(鳥取・島根)」(野村純一他, みずうみ書房, 1984)でもこの「頼太水」の類話が幾つか収録されています。

頼太水は寛永十二年もしくは享保十二年の大洪水を指すそうなのですが、考えるに、漆採りの兄弟の話が無くても、広瀬町に雄渕・雌渕の二つの渕があって、江戸時代に大洪水が起きた、これだけで伝説が成り立つのではないかと思うのです。

漆採りの兄弟の話は洪水のきっかけを説明したお話となるのですが、これは後から付け加えられたのではないかという推測です。

以上のことは「まんが日本昔ばなし」の「龍の淵」を見て思ったことです。島根のお話だと思っていたら、他所にも全く同じ話が伝播していた。広瀬町の雄渕・雌渕は今ではダム湖の底に沈んでいるという、写真も載せられていて非常に説得力があったので、驚いた次第です。

「日本伝説大系」では参考として福井県福井市の伝説も紹介しています。出典は『越前若狭の伝説』とあります。漆にまつわる伝説なので漆芸の盛んな北陸を挙げたのではないかと思います。
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