日向国の米良(めら)の庄に漆取りの兄弟がいた。兄が漆の木を探して山の中を歩いていると、気味の悪い淵に出た。兄はうっかり鉈を淵に落としてしまい、淵に潜って探しているうちに、淵の底に良質な漆が溜まっているのを見つけ大喜びする。
それを町に持っていくとたいそうなお金が手に入るので、その日から兄は人が変わったように怠け者になってしまった。弟にはそのことを秘密にしていたが、ある日、怪しく思った弟は、兄の後をつけて淵の漆のことを知る。そして弟も兄同様に怠け者になってしまった。
兄は弟に漆のありかを知られたのを面白く思わず、淵の底に木彫りの龍を沈めて弟に漆をとらせないようにした。翌日弟が淵に潜り、木彫りの龍を見て本物の龍と間違えて逃げて帰った。
それを見てしてやったりの兄が漆を取ろうと淵に潜ると、木彫りの龍が動き出し、兄に襲いかかった。慌てて逃げだすが、自分の作った龍が動くことを信じられず、もう一度潜るが、やはり龍が襲いかかってきた。兄はやっとのことで逃げ出した。
その後、龍は、深い淵に戻ったまま二度と姿を現すことはなかった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:33 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第11集(DVD第55巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第2集(VHS第19巻) |
場所について | 児湯郡西米良村大字小川(地図は適当) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第1巻-第002話(発刊日:1976年4月30日)/二見書房まんが日本昔ばなし第7巻-第26話(発刊日:2006年2月21日)/講談社テレビ名作えほん第033巻(発刊日:1980年12月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「宮崎地方の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍によると「宮崎県のお話」 |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「宮崎地方の昔ばなし」 |
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