ある男の家に、急に山姥がやってきて嫁にしてくれと言う。男は断るのが怖くて山姥を嫁にしてしまう。
山姥の嫁さんは意外にも働き者なのだが、その日から男の家の米の減る量が異様に多くなる。 不思議に思った男が、昼間畑に行くふりをして家の中の様子を伺っていると、山姥の嫁さんが大量の米を炊いていた。そして、頭ほどの大きさもある大きなおにぎりを いくつも作っると、それらを全部たいらげてしまった。
その様子を見て怖くなった男は、夜、家に帰ってから山姥の嫁に里に帰ってくれという。 山姥は、意外にもその申し出をあっさり受け入れたのだが、里に帰る前に甑(こしき)を一つ買ってくれという。 男が山姥に甑を買いあたえてやると、山姥は甑の中に男を入れ山に向かって走り出した。
男は、山姥の隙を見て甑から抜け出す事に成功。 そうとは知らず、山姥は里まで帰る。そして里に帰ると子ども達を呼び、みんなで男を食べようとする。しかし、こしきの中は空っぽ。男が逃げたことに気がついた山姥は、怒りながらもと来た道を戻る。男は山姥が戻ってきたのであわてて木の上へ逃げた。
それを見た山姥はおもむろに乳を取り出し、それを木の幹にぶつけ始めた。山姥の乳の力はものすごく、木全体を揺らしながら幹をえぐっていく。男は必死で「乳は切れても、木は切れない。乳は切れても、木は切れない」と何度も念仏のように唱えると、山姥の乳がバアァンとちぎれて吹っ飛んだ。 山姥は「痛いよー」と泣き叫びながら山へと帰っていった。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 杉原丈夫(未来社刊)より |
出典詳細 | 越前の民話 第一集(日本の民話44),杉原丈夫、石崎直義,未来社,1968年04月30日,原題「やまんばの嫁さん」,採録地「遠敷郡」,話者「松尾利一」,採集「永江秀雄」 |
このお話の評価 | 8.77 (投票数 13) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧