No.1323
くものあやおり
蜘蛛の綾織
高ヒット
放送回:0838-B  放送日:1992年04月11日(平成04年04月11日)
演出:若林忠生  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:若林忠生
写真あり / 栃木県 ) 31197hit
あらすじ

昔、都に貧しい焙烙(ほうろく)売りの男がいた。

ある雨の日、男が琵琶湖のほとりを通りかかると、一匹の大蜘蛛が湖で溺れていた。心のやさしい男は、見るに忍びずこの蜘蛛を助けてやった。

それから数日経ったある嵐の夜のこと。旅の娘が一夜の宿を借りに男の家を訪れた。男は、この疲れ果てた様子の娘を手厚く介抱した。娘はあやと名乗り、介抱のお礼に機を織りたいと言う。しかしそれには一つ条件があり、自分が機を織るところを決して見ないようにと、男に約束させた。

あやが織り上げる反物(たんもの)は、それは見事な出来栄えで、織り上がるそばから高値で売れていく。おかげで男の暮らし向きもよくなり、男はこの美しい娘を嫁に欲しくなった。男はあやに求婚し、あやもこれを受け入れた。

あやは男の女房になってからは、朝から晩まで機を織り続け、その織物はますます評判となった。ところが一方の男はと言うと、金持ちになるにつれ欲深くなり、以前のやさしい心を忘れていった。

そんなある夜、あやはさすがに疲れたのか、機織り機の前で居眠りをしていた。男は機織りの手を休まれてはもったいないと思い、約束を破り隣の部屋をそっと覗(のぞ)いて見た。すると、何とそこにあやの姿はなく、代わりに大きな蜘蛛が眠っていたのだ。

男は腰を抜かしてしばらく茫然としていたが、もう一度部屋を覗くとそこに大蜘蛛の姿はなく、一片の和歌が書かれた紙が置かれているだけだった。それにはこう詠まれていた。「恋しくは たずねて来たれ 下野の 那須のことやの あやおりが池」

男は、自分に尽してくれたあやに、やさしい言葉の一つもかけてやれなかったことを後悔し、あやを訪ねに下野の御亭山(こてやま)にある、綾織が池に向った。

池のほとりにはあやが待っていた。あやは男に、自分はこの池に住む蜘蛛で、琵琶湖に出かけた際に男に助けられたと明かす。そして男に別れを告げると、その姿は池の向こうへと消えていった。男は約束を破ったことを謝り、あやの名を叫び続けたが、その声は空しく水面に響くだけだった。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2013-2-19 18:52)


参考URL(1)
http://zhouping3.at.webry.info/200711/article_29.html
ナレーション市原悦子
出典日向野徳久(未来社刊)より
出典詳細栃木の民話 第一集(日本の民話32),日向野徳久,未来社,1961年07月31日,原題「蜘蛛の綾織」,採録地「那須郡」
現地・関連お話に関する現地関連情報はこちら
場所について栃木県大田原市の御亭山にある綾織が池
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地図:栃木県大田原市の御亭山にある綾織が池
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※掲載情報は 2013/2/19 18:52 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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ゲスト  投稿日時 2019/6/29 19:21
鶴の恩返しやwww
beniko  投稿日時 2014/4/27 20:15 | 最終変更
トモメルさん、こんにちは。

引用元URLが明記されているので、助かります。
引用元の文章が長文の場合、丸ごとコピペはやめてほしいと思いました。すいませんが、今後は「引用したいなあ」と思った箇所だけ、コピペするみたいな感じでお願いします。

※長い文章だと、引用までして「何を投稿して伝えたいのか」がぶれてしまい、わかりません。よって丸ごとコピペ文は、私の方でまるっと削除しました。今後、よろしくお願いいたします。
トモメル  投稿日時 2014/4/27 19:21 | 最終変更
こんなサイトもありました、転載します

http://www13.plala.or.jp/masajii/masajii/top/koteya.html
御亭谷綾織が池 (こてやあやおりがいけ)
マルコ  投稿日時 2013/3/5 14:00
御亭山の山頂近くに民家の屋根みたいな物が密集しているところがあります。
公園の管理事務所とキャンプができるログハウスの屋根なんですが、灰色の屋根が四つ並んでいる場所の南側、三角形のような形の森の中に「蜘蛛の綾織」の「綾織が池」があります。
マルコ  投稿日時 2013/3/3 16:53
ドライブで御亭山にいってきました。今日はとても晴れていて遠くの方までよく見えましたよ!!もっと大気の状態がいい日だと、富士山とか東京スカイツリーまでも見えるみたいです!!「関東の富士見百景」の石碑がありました。
御亭山頂上にあった石碑によると昭和52年の林野火災により南側を焼失したみたいです。
マルオ曰く、子供が火遊びに使った火が燃え広がって山火事があったのは話に聞いていたそうです。

まんが日本昔ばなしに出てきた綾織池は・・・小さかった・・・。
アニメと全然違うぞ・・・!!でも不思議なのは、山の山頂付近にも関わらず、池があることでした。綾織池のちょっと上には「綾織神社」という小さな石の祠があって水神さまをお祭りしているそうです。綾織池には落ち葉が積もり積もって、とても竜宮まで通じている池には見えませんでした。そんな池にも春が来ているんですねぇ、水芭蕉でしょうか?若草色の水草の芽がでていましたよ・・・。
ゲスト  投稿日時 2013/2/25 14:43
御亭山(こてやさん)緑地公園

所在地:栃木県大田原市北滝1820-2        TEL. 0287-54-3955

御亭山(標高512.9メートル)山頂からの眺望はすばらしいもので、山頂付近には、伝説とロマンを秘めた綾織池があり、また眼下には、那須野ケ原(なすのがはら)の米どころの田園風景、歴史のおもかげを残す家並、地場産の「とちぎ八溝材」の緑のジュウタンが広がり、晴れた日には遠く筑波山、富士山を見ることが出来ます。現在は、御亭山緑地公園となっており、市民の憩いの場としてにぎわいを見せているそうですが、地元じゃあまり有名じゃないですね。「関東の富士見百景」のひとつだそうです。

写真で綾織池を見ましたが、アニメの絵みたいにだだっ広い池じゃなくて、ただの水溜りの池ですね・・・。池の底には竜宮があって、綾織姫がはたを織る音が聞こえたそうですが、とてもそんな風には見えません・・・。5分弱で池の周りを一周できる気がします・・・。
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