昔、奈良の迫西川(せいにしがわ)に七本檜という立派な大木がありました。このヒノキは山の神木で、杣師(そまし、木こり)達の守り神としても大切にされていました。
ある日、このヒノキで豪華な嫁入り道具を作ろうと、町の建具師がやってきました。木こり達は、最初は反対していましたが多額の報酬に心が動き、さっそく切り倒す事にしました。あまりの幹の太さに一日では切り倒す事が出来ず、翌日に続きを切ろうとするしましたが、なぜか切り口は元通りになっていました。
そこで建具師たちは夜にヒノキを見張る事にしました。するとどこからか7人のお坊さんが現れ、ヒノキの切り口に木端を貼り付けて傷を治していくのです。これを見た木こり達は、翌日から切った木端を燃やしながら、数日がかりでやっとヒノキを切り倒しました。この事を知った目の見えないかしき(炊事係)の爺さんは、心を痛めました。
その夜、建具師と木こりがぐっすり寝込んでいる所へ、あの7人のお坊さんがやってきました。建具師と6人の木こり達の頭をそっと撫でて、かしきの目を手ぬぐいで優しく撫でて帰っていきました。翌朝、頭を撫でられた建具師と木こり達は死んでいて、手ぬぐいで撫でられたかしきの目は、すっかり見えるようになっていました。
(紅子 2011-12-23 4:42)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 奈良県 |
場所について | 奈良の迫西川(地図は適当) |
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