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No.0408
すすめどんのおにせいばつ
スズメどんの鬼征伐

放送回:0256-A  放送日:1980年09月27日(昭和55年09月27日)
演出:森川信英  文芸:沖島勲  美術:久保陽彦  作画:森川信英
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あらすじ

昔々、種子島にスズメどんが住んでいました。

スズメどんは毎年卵を生み、子を育てて居ましたが、子供を育てる度に恐ろしい鬼がやって来て、子供をみんな食べてしまうのでした。とうとう堪え切れなくなったスズメどんは鬼退治に出かける事にしました。

藁しべを1本鉢巻きの代わりに頭に巻いて、スズメどんが意気揚々と歩いて行くと、途中で仲間を鬼に踏みつぶされたマテバシイの実と、兄の縫い針を折られたまち針と、兄弟を喰われたムカデと、更にモクズガニとべったぁ(牛のふん)と荒縄と臼が仲間に加わり、一緒に鬼退治に行く事になりました。

途中、川に行きあたると臼が船代わりになって皆を渡し、やっとの事で鬼のすみかである鬼が島に辿りつきました。鬼は出かけていて留守でした。スズメどんと仲間達は相談して、マテバシイの実は囲炉裏の灰の中に、まち針は囲炉裏の縁に、ムカデは味噌瓶の中に、モクズガニは水桶の中に隠れ、べったぁは出入り口にへばりつき、荒縄と臼は出入り口の上に控えました。

やがて鬼が小脇に魚を抱えて戻って来ました。鬼が捕らえた魚を焼いて食べようと火をおこすと、灰の中からマテバシイの実がはじけて鬼の鼻っ面を潰しました。鬼が驚いているとスズメどんが現れ「喰われた子供の仇打ちだ、今日こそ思い知れ!」と叫びながら頭をつつきました。鬼が「何を小癪な!」とスズメどんを追うと、囲炉裏端のまち針を踏みつけて大怪我をしました。傷口に味噌を塗ろうとするとムカデに指を噛まれました。水で冷やそうとするとモクズガニに挟まれました。

進退きわまった鬼が逃げようとするとべったぁを踏みつけて滑り、夢中で出入り口に下がっていた荒縄を掴んだ拍子に臼が頭上に転げ落ちてきて頭をしたたかに打ちました。流石の鬼もすっかり参ってしまい、「命ばかりは助けてくれ」と泣き叫びながら逃げてしまいました。

こうして、鬼退治はスズメどんと仲間達の勝利に終わりました。その後スズメどんは無事に子育てしたと言う事です。
今でも種子島にはスズメが沢山いますが、あれは御先祖様の武勇伝を語り継いでいるのかも知れません。

(投稿者: 熊猫堂 投稿日時 2012-10-19 9:07 )


ナレーション常田富士男
出典下野敏見(未来社刊)より
出典詳細種子島の民話 第二集(日本の民話34),下野敏見,未来社,1962年11月25日,原題「スズメどんの鬼征伐」,採録地「西之表市下能野」,話者「山下正吉」
備考鹿児島県の種子島
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※掲載情報は 2012/10/19 13:32 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2021/11/30 23:04
この昔話と似たような話を見つけました。
「ふるさとの民話12・広島県の民話」(偕成社)に収録されている「ショート(ホオジロ)のおにたいじ」(豊田郡)という話です。
ショート(広島の方言でホオジロや小鳥一般をさす)が、村はずれに立つ地蔵の耳の中へ巣をつくって卵を三つ産みます。
ショートが餌を探しにトウキビ畑へでかけている最中に、赤鬼、白鬼、黒鬼が次々にやってきて、地蔵の耳の中の卵を食べたり、壊したり、踏みつぶしたりします。
卵を奪われたショートは、トウキビでだんごをこさえて、鬼退治に出かけます。
そこへ黒牛、クリ、ハチ、ひきうすたちがやってきて、きびだんごをもらい、鬼を征伐するという筋書きです。
巻末の解説にも書かれていますが、後半は「サルカニ合戦」と同じストーリー展開で、広島県では豊田郡だけでなく、山県郡、高田郡、世羅郡などの県北でも、スズメの仇討ち話として分布しているそうです。
この話の中に地蔵さんが出てくることでもわかりますが、やはり、インドの仏教説話である「ジャータカ」の話が、そもそものモデルになっているらしいですね。
Perenna  投稿日時 2020/10/2 23:01
この昔話と似たような話が、インドの仏教説話である「ジャータカ」にも収録されています。
「ウズラ前生物語」(「ジャータカ全集4」春秋社)という話です。
一羽のウズラが象の徘徊する場所に卵を産んだ。
卵が孵化して、殻を破ってひなが出てくると、八万の象の群れが餌を求めて歩き回り、その場所を通りかかった。
ウズラは象の王様に頼んで、わが子たちを踏みつぶさないようにお願いすると、象王は快くひなたちの安全を保証してくれた。
しかし、象の群れと別行動をとっていた一人歩きの象は、残忍で無慈悲だったので、ウズラのひなたちを足で踏みつぶし、小便で押し流してしまった。
母ウズラは非情な象に対して復讐を誓い、カラス、青バエ、カエルに協力を頼んだ。
カラスは象の両眼をくちばしでつぶし、ハエが卵を産みつけ、蛆(うじ)に食われた象は痛みのために気も狂わんばかりとなり、喉の乾きに襲われ、水を求めてさまよった。
そのとき、カエルは山頂に立って声をあげて鳴いたので、象はその声につられて崖に向かって進んだところ、足を踏みはずして崖下に落ちて死んでしまった。
こうしてウズラは、カラスと青バエとカエルの協力を得て、悪い象に復讐することができた。
この昔話も「さるかに合戦」も、本来はインドの説話が原作なのではないでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2020/9/7 20:33
主役のスズメどんが某スポーツ紙の馬のキャラクターに似てるなと思ったのは私だけだろうか。
アザヴ  投稿日時 2018/12/2 8:24 | 最終変更
動画を観た所ゲストさんの言うとおり折られたのが縫い針、敵討ちをする方がまち針でした。もしよければ訂正お願いします。
__
遅くなってすいません。該当箇所を訂正しました。(2018/12/3)
ゲスト  投稿日時 2017/3/31 17:07
折られたのが縫い針 仲間がまち針ですよ
ゲスト  投稿日時 2017/3/24 13:00

「命だけはお助けを~」
     ↑
散々命を奪ってきたお前が言うな!!
ゲスト  投稿日時 2016/1/23 13:16
自分としては鬼が海賊でスズメ達は種子島の島民達で、海賊に家族を皆殺しにされた島民達が仇討ちする物語が動物や妖怪に変えて言い伝えているのかもしれません。
匿名希望。  投稿日時 2013/9/18 10:14
まるで、少年ジャンプのキャッチフレーズみたいに。
努力・友情・勝利を地で言った昔話で面白い!
熊猫堂  投稿日時 2012/10/19 9:07 | 最終変更
森川さんの可愛い動物が好きな人にはたまらない作品だと思います。
マニアック  投稿日時 2011/11/11 23:00
「桃太郎」「さるかに合戦」をミックスしたような、作品。
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