No.0713
はちのこい
鉢の鯉

放送回:0448-A  放送日:1984年06月16日(昭和59年06月16日)
演出:大竹伸一  文芸:沖島勲  美術:大竹伸一  作画:大竹伸一
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あらすじ

昔ある所に、とても人使いの荒い五郎兵衛という長者がいました。使用人たちを朝から晩まで働かせ続け、病気や年を取って働けなくなった使用人につらくあたりました。

こんな五郎兵衛の家から、使用人たちはどんどん逃げ出し、とうとう誰もいなくなってしまいました。やがて五郎兵衛は財産を使い果たし、家財も売り払い、家の中はすっからかんになってしまいました。

そこで五郎兵衛は、最後に残っていた先祖代々から伝わっていた古びた鉢を、親切な源右衛門長者に米五俵で買ってもらいました。何のへんてつもない鉢でしたが、内側に鯉の絵が描かれていました。

源右衛門が、試しに鉢に水を入れてみると、不思議なことに絵の鯉が本当の鯉に変化し泳ぎはじめました。源右衛門は「これはとんでもないお宝だ」と驚いて、さっそくこの鉢を五郎兵衛に返すことにしました。

しかし、五郎兵衛の家で鉢に水を入れても、絵の鯉は泳ぐことはありませんでした。親切で心が広く優しい源右衛門の家でだけ、鯉は泳ぎ出すのでした。

この事から、五郎兵衛はすっかり心を入れ替えて反省し、人を思いやる気持ちを大切にすることを誓いました。そして家を再興するまで、この鉢を源右衛門に預かってもらうことにしました。その後、五郎兵衛は日々真面目に働き、たまに源右衛門の家を訪れては、一緒に鉢の鯉を見て自分を戒めたということです。

(紅子 2013-11-3 0:47)


ナレーション常田富士男
出典若狭・越前の伝説(角川書店刊)より
出典詳細若狭・越前の伝説(日本の伝説46),花岡大学,角川書店,1980年5年20日,原題「鉢の鯉」
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追加情報
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※掲載情報は 2013/11/3 0:47 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
Perenna  投稿日時 2020/10/10 23:47
この昔話と同じ話が、未来社の「若狭・越前の民話・第二集」にも収録されています。
「どんぶりの鯉」(鯖江市)という題名です。
「むかし、鯖江市上河端に五郎兵衛という旧家がありましたと。いつのことか家運がかたむき、持ち物を一つずつ売り払っていって、ついにもう売るような金目の物がなくなってしまったのですと。五郎兵衛が「なにか売る物がないかな」と思って、家の中を見回していると、天じょう裏に古い箱がつるしてあるのに気がつきました。」という書き出しで始まっています。
お話の舞台は、福井県鯖江市上河端町でまちがいないようです。
問題のどんぶり(鉢)については、五郎兵衛がいくら水を入れても鯉は少しも動き出さないので、「絵にかいたこいでさえも、積善の家(代々よいことをしている家)を慕っているのやろう。あなたの家でははね、わたしの家では動かない。これはやはり、あなたの家に宝物としておくべきものです」と言って、そのまま源右衛門にどんぶりを譲ったと書かれています。
角川書店のお話とは、微妙に細部がちがっているのかもしれません。
アザヴ  投稿日時 2018/12/15 10:05 | 最終変更
最後五郎兵衛は、鉢を取り戻そうとは思ってなかったのでは?
__
該当箇所を訂正しました。(2018/12/16)
マルコ  投稿日時 2013/6/22 15:55
福井県鯖江市上河端町がこのお話の舞台らしいです。
上河端町の旧家五郎兵衛さんの家が話の舞台です。
マルコ  投稿日時 2013/6/22 15:47 | 最終変更
むかしむかし、鯖江(さばえ)の城下町(じょうかまち)に、五郎兵衛(ごろべえ)という男が住んでいました。五郎兵衛はなまけ者で少しも働こうとはせず、家にある品々を売って毎日を食いつないでいました。そんなある日、とうとう家の中はふとん一枚が残るだけになりました。さすがの五郎兵衛も、ふとんにあおむけになりながら考え込んでしまいました。
「もうこれ以上、売る物がない。どうしようか?」
その時ふと、天井からぶらさがっている小箱が目に止まりました。
「あった! あの箱を売ればいい。・・・いや、まてよ」
その箱は先祖代々(せんぞだいだい)、貧乏になって家をなくす時まで開けてはならないと伝えられている事を思い出しました。しばらくの間、五郎兵衛は箱をにらんでいましたが、
「ええい、こんな時だ。ご先祖さまだって文句はいうまい」
と、さっさと箱を開けてしまいました。すると箱の中には、薄汚れたどんぶりが一つ入っているだけです。
「ちぇっ、こんな物、何にもならないや。・・・まてまて、人のいい長者(ちょうじゃ)の源(げん)さんなら『家宝(かほう)だ』と言えば、少しぐらいのお金をくれるだろう」
五郎兵衛はさっそく、長者のところへ持っていきました。
長者は家宝まで売りにくる五郎兵衛をあわれに思い、薄汚れたどんぶりと米五俵(ひょう)を代えてくれました。さて、その年の秋祭りの日に、長者がたくさんのお客を家に呼びました。そしてなにげなく五郎兵衛のどんぶりを、みんなに見せました。
「長者さん、これが家宝だって? どんぶりの底に、コイの染付(そめつけ)があるだけじゃないか。水でも入れたら、何か変わった事でもおきるのですかい?たとえば、染付のコイが泳ぎだすとか?」
と、客に冗談半分に言われた長者は、
「そうだな。そうかもしれないぞ」
と、どんぶりに水を入れてみました。
すると不思議な事に、コイの染付がむくむくと動き出して、ピシャンと空中に飛びはねたのです。
「なんと、これは!」
一同は、ビックリです。長者はその不思議などんぶりを、五郎兵衛に返しました。五郎兵衛は何度も水を入れてみましたが、ただのどんぶりでした。でも長者が水を入れると、コイがちゃんと泳ぎ出すのです。それを見た五郎兵衛は、(これは、ご先祖さまのいましめにちがいない)
と、思い、それからはまじめに働いたという事です。

おしまい

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http://hukumusume.com/douwa/betu/minwa/06/14.htm
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