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投稿者:もみじ 投稿日時 2012/8/29 23:09
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弘法大師伝説になぞらえたお話の中で、これとこれは類似話として良いのかなと思う話を調べた結果のご報告です(・ω・)
民話の分類についても、本に記載されていたものを少し簡略化して載せますので、別のお話を類似話か否かを検討される際にご参考にしていただけたらと思います。
投票数:38 平均点:10.00

投稿者:もみじ 投稿日時 2012/8/29 23:11
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まずは、民話の分類を本を参考にして簡略化したものです。
「ガイドブック日本の民話」から参照した結果、民話についての分類は大きくわけて以下のようになってました。

民間神話
伝説
昔話→動物昔話
   本格昔話
   笑い話
   形式譚
世間話


・民間神話
日本神話関連、および、神々の起源・山や湖沼の起源を語るもの。
白鳥処女神話 → 天人女房
豊玉姫神話 → 蛇女房
などのように、神話から昔話へと形を代えて伝わっているものがある。
神話は伝説や昔話の系列の話に深く関わっている。

・伝説
村の起源や事件、年中行事、風俗習慣、信仰などの言い伝えを語るもの。
・村の長者伝説、落人伝説
・鬼・天狗・河童などの妖怪にまつわる伝説
・ごま植えず、きゅうり植えず、鮭食べず、などの日常生活に関わる禁忌伝説
・蓬・菖蒲を屋根にふいたり、菖蒲湯に入るなど、行事やしきたりの由来伝説
・弘法大師、平将門、源義経などの歴史上の実在の人物にまつわる伝説

その他にも、築城・落城伝説、沈鐘伝説、機織り淵・椀貸し淵伝説、羽衣伝説、
湖沼の主や山の背比べ伝説、洪水伝説、飢饉伝説、地名起源伝説などがあります。
山や湖沼の起源などを語る伝説は民間神話を下地にしたものになります。

・世間話
日常生活の中で交わされる珍談、奇談、怪談、笑い話、色話など
人や家や村についての巷談、うわさ話の全般を指す。
狐や狸に化かされた話、大入道や河童などに出会った話、大食いや怪力の話
家、人のあだ名の由来など。

・昔話
架空の人物や場所を登場させ、時代を特定せずに語られる空想的な物語。
<本格昔話>
人間を主人公とする複雑な構成をもつ昔話。
主人公の誕生から成長、成人、結婚などの過程、一生が描かれるものや
富や成功を得るまでの過程が描かれるものがある。
代表的なものとして、桃太郎、一寸法師などがあげられる。

<動物昔話>
動物を主人公とする昔話。まれに植物が主人公の話もあります。
動物の姿の由来、鳴き声の由来などが語られています。

<笑い話>
笑いに重点を置いた話。とんち者話やおろか者話などがあげられます。
世間話的に語られるものも多くあるのが特徴です。
とんち者話 → 吉四六や彦一といった「とんち者」のお話。
おろか者話 → 他所の風習や言葉・食べ方を知らず、やり方を知らずに間違えたことをしてしまう話。
        
<形式譚>
昔話をせがむ子どもたちをうんざりさせたり、はぐらかしたり諦めさせたりする短い話。
短いなかにも言葉遊びなどが込められているもの。

の以上です。
投票数:39 平均点:10.00

投稿者:もみじ 投稿日時 2012/8/29 23:14
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民話の分類を元に、
「あとかくしの雪」
「たいしこ団子」
「藁の元結」
「つきぬ銭差し」
の4点を検証しましたが、残念ながら「藁の元結」に関する記述が本には載っていませんでした(・ω・;)
なので本を参照にしつつ個人的な見解で行くと、


「あとかくしの雪」と「たいしこ団子」は
二つとも「盗んでまで用意してあげた」ということと「旅人はお婆さんが盗みを働いた事実に対して言及しない」です。
さらに「大師講」に欠かせない「大根や団子、あずき粥」という要素が入るので
<歴史上の人物に関する伝説>(弘法大師)と、<年中行事に関わる伝説>(大師講)とが組み合わさっています。

「藁の元結」は、ヒエのお粥は出てきますが、自前で用意したものですし
どちらかといえばお坊さんが、死のうとしている正直者のお婆さんを諭す面が大きいと思うので
<歴史上の人物に関する伝説>の弘法大師伝説の一つとだけになるのではないかと思います(・ω・)


弘法大師伝説の他には、
弘法の食わず芋 → 欲張りな人が「これは食べられない芋だからあげない」と言った結果、本当に食べられなくなった話
弘法井戸・弘法清水 → 村に立ち寄って水を求めた時に親切な村人が遠くまで水を汲みに行ってくれたお礼をした話
などがあげられます。
どれもみすぼらしい旅のお坊さんに親切にしてあげた結果、良い結末を迎えたり、
逆に不親切にした結果、罰があたった話などの形式になっており、
それらは弘法大師の伝説の一つと見て良いかもしれません。

「藁の元結」の「お金がなくならない巾着袋」は
弘法大師に親切にした結果、お礼をもらったということになるかと思います。
投票数:41 平均点:10.00

投稿者:もみじ 投稿日時 2012/8/29 23:23
最後に「つきぬ銭差し」ですが、これは話の要素が別の分類になるようです。
本には、「沼神からの手紙」というくくりで話が載っていました。(・ω・)

・河童が手紙を託けてきて、手紙を書き換えて宝をもらって帰る話
・手紙を書き換えないでそのまま渡して宝を得る話。(書き換えない場合はそのまま宝を得る話になってます)
・伊勢参りのついでに手紙を渡して欲しいと頼まれ、旅費としてつきぬ銭差しをもらったお話
などが似ているお話のくくりとして挙げられていました。最後のがつまり、まん日の「つきぬ銭差し」ですね。

沼の主にもらう宝としては
・米一粒入れると金一粒出す石臼
・一合の米を食べさせると金を産む犬
・底をたたくといっぱいになる酢の壺
などがあり、それらには必ず守るべき条件がつけられていて、もらった主人公は条件を守るけれど、女房などが欲をだした結果、二度と使えなくなります。
そして、宝を授かるだけでなく、沼の底の御殿へ案内されてもてなしを受けるという話もあり、三日遊んで帰ってみると地上では三年も経っていて、死んだものと思われていたなどと語られます。

とありました。ほぼ本に書かれている通りの話になってるので「つきぬ銭差し」は弘法大師の伝説とは関係がない別物のようです。
文献としては、「今昔物語集」には橋のたもとにる女に箱を渡すよう頼まれる話があり、
「宇治拾遺物語」には手紙を届けて、いくらでも米が出る袋をもらう話が収められていると追加で書いてありました。

非常に古くから沼や川の神(河童含む)からの手紙の託けて話はあるようです。
本には「淵や沼には神が宿るとされ、また竜宮への道につながっているとも考えられていたようです。」と書いてあり、それらは全て、水神を信仰する思いから生まれたものではないかということです。

結論としては<河童や妖怪にまつわる伝説>の<水神信仰を下地にした伝説>と見て良いのではないかと思います。
米をもらえる宝をもらえるくだりなんかは、水が稲作に重要なものだからこその話ともとれそうです(・ω・)


個人的な見解もふまえた4点のお話の考察はこんなところですが、
この「ガイドブック日本の民話」(日本民話の会/編 講談社出版)という本は
けっこう分かりやすかったです。(*´∀`*)
他にも、話に出てくる河童や鬼といった妖怪や動物たち、井戸や囲炉裏といった生活道具までが昔話でどのような立ち位置にいるかを検証し、昔からどのように日本人に思われてきたかがまとめてありました。
実は市立図書館で借りた本ですが、とても参考になったし借りてきて良かったです。(´∀`*)
市立図書館にあるくらいだから、きっと他府県の図書館にもあるでしょう。…たぶん!

興味を持たれた方は是非読んでみてください。(*´∀`*)
投票数:40 平均点:10.00

投稿者:beniko 投稿日時 2012/8/30 0:09
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民話分類の考察、複数の投稿ありがとうございました。
ちょっと紅子にはまだ難しいレベルの内容でしたが、少しずつ理解できるようになってきていますので、まずはお調べいただいた事に対して御礼を申し上げます。
投票数:38 平均点:10.00

投稿者:むりどん 投稿日時 2012/9/7 21:12
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もみじさん、すごい!!
詳しく調べられているんですね~

すごく、興味深くて、おもしろいです。
各地にある、お大師さんの伝説を、こうして見てみると、
ますます興味深いです。
何回も、何回も、読み返しました。
ありがとうございます。




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