「つきぬ銭差し」の分類要素

「つきぬ銭差し」の分類要素

投稿者:もみじ 投稿日時 2012/8/29 23:23
最後に「つきぬ銭差し」ですが、これは話の要素が別の分類になるようです。
本には、「沼神からの手紙」というくくりで話が載っていました。(・ω・)

・河童が手紙を託けてきて、手紙を書き換えて宝をもらって帰る話
・手紙を書き換えないでそのまま渡して宝を得る話。(書き換えない場合はそのまま宝を得る話になってます)
・伊勢参りのついでに手紙を渡して欲しいと頼まれ、旅費としてつきぬ銭差しをもらったお話
などが似ているお話のくくりとして挙げられていました。最後のがつまり、まん日の「つきぬ銭差し」ですね。

沼の主にもらう宝としては
・米一粒入れると金一粒出す石臼
・一合の米を食べさせると金を産む犬
・底をたたくといっぱいになる酢の壺
などがあり、それらには必ず守るべき条件がつけられていて、もらった主人公は条件を守るけれど、女房などが欲をだした結果、二度と使えなくなります。
そして、宝を授かるだけでなく、沼の底の御殿へ案内されてもてなしを受けるという話もあり、三日遊んで帰ってみると地上では三年も経っていて、死んだものと思われていたなどと語られます。

とありました。ほぼ本に書かれている通りの話になってるので「つきぬ銭差し」は弘法大師の伝説とは関係がない別物のようです。
文献としては、「今昔物語集」には橋のたもとにる女に箱を渡すよう頼まれる話があり、
「宇治拾遺物語」には手紙を届けて、いくらでも米が出る袋をもらう話が収められていると追加で書いてありました。

非常に古くから沼や川の神(河童含む)からの手紙の託けて話はあるようです。
本には「淵や沼には神が宿るとされ、また竜宮への道につながっているとも考えられていたようです。」と書いてあり、それらは全て、水神を信仰する思いから生まれたものではないかということです。

結論としては<河童や妖怪にまつわる伝説>の<水神信仰を下地にした伝説>と見て良いのではないかと思います。
米をもらえる宝をもらえるくだりなんかは、水が稲作に重要なものだからこその話ともとれそうです(・ω・)


個人的な見解もふまえた4点のお話の考察はこんなところですが、
この「ガイドブック日本の民話」(日本民話の会/編 講談社出版)という本は
けっこう分かりやすかったです。(*´∀`*)
他にも、話に出てくる河童や鬼といった妖怪や動物たち、井戸や囲炉裏といった生活道具までが昔話でどのような立ち位置にいるかを検証し、昔からどのように日本人に思われてきたかがまとめてありました。
実は市立図書館で借りた本ですが、とても参考になったし借りてきて良かったです。(´∀`*)
市立図書館にあるくらいだから、きっと他府県の図書館にもあるでしょう。…たぶん!

興味を持たれた方は是非読んでみてください。(*´∀`*)
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