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No.0975
いきあきとぶんばい
イキアキとブンバイ

放送回:0615-A  放送日:1987年09月12日(昭和62年09月12日)
演出:三輪孝輝  文芸:沖島勲  美術:安藤ひろみ  作画:三輪孝輝
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あらすじ

むかし、「生き飽きた、生き飽きた、誰でもいいから殺されたい」と言いながら、諸国を渡り歩く男がおった。この男、「俺は南部のイキアキだ」と書いた札を下げており、男が東北の生まれだということと、『イキアキ』と名乗っていることだけが知られておった。イキアキは天下をのさばって歩き、多くの者と戦ったが、誰にも殺されることはなかった。

ある時、南部の西、秋田の国の『ブンバイ』という剣の達人がイキアキの噂を聞きつけ、道場の前に高札を立てた。高札には『南部のイキアキよ、秋田のブンバイがお前を殺してやる』と書かれておった。するとまもなくイキアキがやって来た。天下無双を争って、イキアキとブンバイは河原で勝負をつけることになった。

ブンバイは長い刀を、イキアキは火のついた燃え木を、それぞれ構えた。イキアキは「生き飽きた!生き飽きた!」と念仏を唱えながら、次から次へと燃え木をブンバイに投げつけはじめた。ブンバイは目にも止まらぬ速さでそれを切り払う。

二人の強さは互角で、お互いまったく付け入る隙がない。だが、日が暮れる頃、徐々にブンバイに疲れが見え始めた。あっと思った瞬間、イキアキが投げた燃え木がブンバイの眉間に直撃し、ブンバイは河原に倒れ、そのまま息が絶えてしもうたそうな。じゃが、その時にはもう、イキアキの全身にも燃え木の火が燃え移っておった。火達磨になったイキアキは川に飛び込もうとしたが遅かった。とうとうブンバイと同じく、この河原でこと切れてしもうた。

こうして天下無双を誇った剣豪ブンバイも、長い間念仏を唱つづけたイキアキも、南部の西は秋田の河原で死んでしもうた。勇壮、豪胆な二人の豪傑の死じゃった。

そうしてこの勝負を見届けた野良犬だけが、家族のもとへ帰っていった。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2012-5-27 15:11 )


ナレーション市原悦子
出典瀬川拓男(角川書店刊)より
出典詳細乱世に生きる(日本の民話08),瀬川拓男,角川書店,1973年2年10日,原題「イキアキとブンバイ」,伝承地「岩手県」
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※掲載情報は 2012/5/27 15:44 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
8件表示 (全8件)
日清皿太夫  投稿日時 2022/1/2 12:16
 猛者二人殺し合ったという言い伝えが元になっており、江戸初期に実在した大名や剣豪の名もチラホラ。乱世が終わり生き場所を失った者の話として、説得力がある分析です。

 どうしよう。No.1091「消えたかぶら矢」と同じ話に見える。腕が立ち過ぎて山奥に隠れ棲むしか無くなった豪傑という共通点があります。何度も卑怯な手を使い、或いは勝負から逃亡した挙句「オレは負けなかった」と書き遺した某剣豪が崇拝され、虚言を重ねて「作戦勝ち」と偉ぶる輩もあるようじゃがのう(←常田富士男さんの声で)

 腕自慢が手加減無しに闘って勝者無しという展開は「核戦争をやって生き残った人数の多い陣営が勝ち」と企む者が本当に居たという米ソ対立の戯画とも見える。大国を争わせる極悪が居るんだ、そいつらと女ったらしで肝臓ボロボロの英国スパイが闘って…という物語を種に映画10本は堅かった時代です。自宅を派手に始末して出立する様子にジャパニーズなノリは見えないブンバイ。一方勝利を宣言する事なく焼死するイキアキも、造形のイビツさも手伝って「強い!」というより愚かに見え、哀れを誘う。当話製作前年に(核の落とし仔とも言える)チェルノブイリ原発が事故を起こしたソ連は、“火消し”に躍起になったが結局国家崩壊の引き金を引いた。こんな強国が倒れる様子も歴史に刻まれた事です。

 無関係の他者を巻き込み自殺を図るようなマトモでない人間を描きたければ、登場の必然性皆無な犬の家族。彼らは我々日本人の姿。毛色が国旗の色のアレンジと考えて納得しました。アニメスタッフの意図かどうかは訊いてみなきゃ分からないけれど、世の中にたちこめていた“イキアキ”ならぬ生き辛さを語るのは彼らだと思っています。それから34年。誰かに飼われ、勝者無き殲滅戦の片棒を担いでいないでしょうか御犬様。
んん  投稿日時 2021/12/29 15:50
ブンバイのあれ、髭なの?鼻毛なの?
猫  投稿日時 2021/9/6 22:26
とても衝撃的で印象に残っていると同時にお二人の演技力にとても関心させられたお話です。イキアキが「生き飽きた」と叫びながら燃える薪を投げつけるところや、ブンバイが燃えた薪を顔面に食らって顔面が血だらけになるところなどとても過激な描写も多いですが、そこも含めて大好きなお話です。

イキアキは、本当に死にたかったのでしょうか…本当に死にたいのだとすれば、自ら飛び降りたりなどいくらでもできると思いますが、生き飽きたと叫びながら多くの人を殺し、最期は、火だるまになってしまいましたがそれでも必死で川へ飛び込もうとしていました。生きたいのか生きたくないのか・・・謎が残りますね…
匿名希望。  投稿日時 2019/10/17 15:44
ブンバイのひげが鼻毛みたい。(笑)
まるやんX  投稿日時 2017/6/3 21:07
武士の戦場での心得に『死なんと戦えば生きるもの』即ち死んだ気になって戦えば生き残れるというのがありますが、その心得のままに強く生きるイキアキと、兵法から平法へと代わり道場剣術に生きるブンバイ。
戦場剣術と道場剣術。武士として武芸者としてのイデオロギー対決といった感がある話。
ただ、薪雑把を使ってという話は、戦国期の冨田流の冨田勢源、江戸時代の無外流の辻月丹ら剣豪達の逸話ではよくある。
流石に火がついた物は無いですが。
ゲスト  投稿日時 2017/2/21 14:27
イキアキ、迷惑な男だなあ
ゲスト  投稿日時 2015/6/22 10:35
妙に記憶に残っている話。
強くなり過ぎた者の孤独、まさに「敗北を知りたい」といったところでしょうか。
「生き飽きた」と言いつつ、焼け死ぬ最後の瞬間まで生きようと足掻くイキアキの姿は
とにかく生命力に満ちあふれていて強烈な印象でした。
はるちゃん7  投稿日時 2013/6/14 10:15
「生き飽きたー」と叫びながら豪傑たちを次々倒し続けるイキアキ。
タイトルバック中から聞こえる殴りあう騒音と道場一面倒れる剣士たち。
自殺したいといって通行人を道連れに無差別殺人をするような人と姿が重なって見えてくるのですが。
イキアキって死にたいのか生きていたいのか?理解できません。
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