昔、秋田の鹿渡(かど)という所にジュンショ?という家があった。ここの嫁は良く働くがだらしがなく、家の事や子供の面倒を見るのは好きではなかった。
ある日、家の上がり口に脱ぎ捨てていた着物の裾がぬれていた。嫁は、子供が寝小便をしたのかと思い叱ったが、子供は寝小便もしてないのにそれが何日も続いた。おかしいと思った嫁が夜中に見張っていると、飼い猫のタマがほったらかしの着物を羽織って外へ出て行った。
驚いた嫁が追いかけると、タマは墓場の先の小さなお堂に入っていった。そこは村中の猫たちが集まって、ろうそくの火を中心に輪になって踊っているのだった。猫たちは「ジュンショの嫁がだらしないのでやっつけれ」と、大合唱しはじめた。
怖くなった嫁は、走って家に戻りそのまま気を失った。朝になり目が覚めると、そこには脱ぎ捨てられた着物が置いてあり、やっぱり着物の裾は濡れていた。嫁は「だらしのない事をタマが諭してくれたんだ」と思い、それからは家の事も子供の面倒も見るようになった。
(紅子 2011-11-28 3:28)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 秋田のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 秋田のむかし話(各県のむかし話),秋田県国語教育研究会、秋田県学校図書館協議会,日本標準,1974年06月10日,原題「ねこおどり」 |
場所について | 秋田の鹿渡(地図は適当) |
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