昔ある所に、たいそう年を取ったじい様とばあ様が住んでいました。
ある日、山へ薪(たきぎ)を取りに行ったじい様は、キノコの好きなばあ様のために、山のキノコを取って来ようと思いつきます。ところがじい様は、キノコを探している内に山の中で道に迷ってしまいました。
山の中をさまよう内に、じい様は小さな泉を見つけました。喉が渇いていたじい様がさっそく一口飲んでみると、じい様はどんどん若返っていきました。なんとそれは「若返りの泉」だったのです。
若者になって帰ってきたじい様を見て、ばあ様はびっくり仰天。ばあ様は、明日には自分も泉の水を飲んで若返る事を楽しみにして、その晩は眠りました。そして翌朝一番に起き出して、一人で若返りの泉に向けて出発しました。
じい様は、若返ったばあ様が帰るのを楽しみに待っていましたが、夕方になってもなかなか帰ってきません。心配したじい様が泉まで迎えに行くと、裸の赤ん坊がオギャーオギャーと泣いていました。ばあ様は、たらふく水を飲みすぎたため若返りすぎてしまったのです。
赤ん坊になったばあ様を抱いたじい様は、へなへなとその場に座り込んでしまいました。
(紅子 2011-10-30 0:05)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第10集(DVD第50巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第4集(VHS第40巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第11巻-第052話(発刊日:1977年1月10日)/童音社BOX絵本_第15巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第013巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第13巻-第52話(発刊日:2006年8月8日)/講談社テレビ名作えほん第016巻(発刊日:1977年12月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「山梨地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「九州地方の昔ばなし」 |
国際情報社の絵本より | 水は、私たちのふだんの生活と深いかかわりをもったものですが、人間の意志を越えて洪水という狂暴な”神”になったり、時には意地悪に”水止め”の日照りをもたらすこともあり、水神としての対象になってきました。一方、私たちは、”不老長寿”に対するあくなき願望をもっています。この二つが結びついたのが、この話です。ここで、面白いのは、若返りの水を飲みすぎたおばあさんが、赤ん坊にまでさか上ってしまう点です。女性の、若くありたいという願望の強さを下敷きにしてみると、そこに”業”というものを感じとることができます。(山梨地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「山梨地方の昔ばなし」 |
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