昔の事じゃ、ある所に日照りが続いて苦しんでいる村がありました。その村に一人の旅の坊様が通りかかり、気の毒に思って雨乞いの祈りを始めました。すると、干からびかけた池にいた沢山のカエルたちが、坊様の近くでゲコゲコ鳴きはじめました。
坊様は一心不乱にお経を唱えるのですが、修業中の身であったためか、カエルの声が耳について心が乱れてしまうのです。坊様が思いあまって「どうか静かにして下さい」とお願いすると、カエルたちは坊様の言葉がわかるのか、ピタリと鳴くのを止めました。ところが今度はあまりの静けさが気になり、坊様はまたまた心をかき乱し、祈りに力が入りませんでした。
それから二日たっても雨は降らず、坊様は集中できずに苦しみながら念仏を唱えていました。ふと目を開けた坊様の前には、カエルたちが日に焼かれ干からびて死んでいました。干からびながらもカエルたちは、一つの声も立てませんでした。
坊様は己の未熟さに気が付き「仏様、せめてカエルたちだけでもお助け下さい」と、一生懸命に祈り続けました。すると、空に黒雲がわいて雨が降りはじめ、乾ききった土を潤しはじめました。わずかに生き残っていたカエルも元気を取り戻し、村も人も救われました。
その後、坊様は厳しい修業を重ねて、仏様の心を知る偉いお坊様になりました。そして今でもこの池のカエルだけは、鳴き声をたてないそうです。
(紅子 2012-1-20 23:08)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 岐阜県 |
備考 | 岐阜の立政寺にまつわる民話に、蛙の鳴かない池というのがあるそうで、確信ないままマッピング中。 |
場所について | 立政寺 |
講談社の300より | 書籍によると「岐阜県のお話」 |
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