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No.0635
かえるのなかないいけ
かえるのなかない池

放送回:0398-B  放送日:1983年06月25日(昭和58年06月25日)
演出:前田康成  文芸:平見修二  美術:青木稔  作画:前田康成
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あらすじ

昔の事じゃ、ある所に日照りが続いて苦しんでいる村がありました。その村に一人の旅の坊様が通りかかり、気の毒に思って雨乞いの祈りを始めました。すると、干からびかけた池にいた沢山のカエルたちが、坊様の近くでゲコゲコ鳴きはじめました。

坊様は一心不乱にお経を唱えるのですが、修業中の身であったためか、カエルの声が耳について心が乱れてしまうのです。坊様が思いあまって「どうか静かにして下さい」とお願いすると、カエルたちは坊様の言葉がわかるのか、ピタリと鳴くのを止めました。ところが今度はあまりの静けさが気になり、坊様はまたまた心をかき乱し、祈りに力が入りませんでした。

それから二日たっても雨は降らず、坊様は集中できずに苦しみながら念仏を唱えていました。ふと目を開けた坊様の前には、カエルたちが日に焼かれ干からびて死んでいました。干からびながらもカエルたちは、一つの声も立てませんでした。

坊様は己の未熟さに気が付き「仏様、せめてカエルたちだけでもお助け下さい」と、一生懸命に祈り続けました。すると、空に黒雲がわいて雨が降りはじめ、乾ききった土を潤しはじめました。わずかに生き残っていたカエルも元気を取り戻し、村も人も救われました。

その後、坊様は厳しい修業を重ねて、仏様の心を知る偉いお坊様になりました。そして今でもこの池のカエルだけは、鳴き声をたてないそうです。

(紅子 2012-1-20 23:08)


ナレーション市原悦子
出典岐阜県
備考岐阜の立政寺にまつわる民話に、蛙の鳴かない池というのがあるそうで、確信ないままマッピング中。
場所について立政寺
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地図:立政寺
追加情報
講談社の300より書籍によると「岐阜県のお話」
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※掲載情報は 2012/1/20 23:08 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
2件表示 (全2件)
まゆぽん  投稿日時 2019/2/7 15:22
こんにちは!
子供の頃、家の周りが田んぼで、夏(梅雨時)になるとカエルの声が物凄くうるさくなって、夜、ホントに寝られなくて泣きそうになりながら、でも頑張って寝ていました。(昔の田舎は夏は窓を開けて網戸にして寝るので、余計にうるさい…。)
だから、このお坊さんの気持ちがとてもよくわかって(´-`)同情しながら見ていたのを思い出しました。
Perenna  投稿日時 2019/1/24 22:27
立政寺については、大正4年に出版された「岐阜市案内:附長良川鵜飼記」に次のように書かれています。(コマ番号36/62)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/932606/36

「立政寺(附不鳴池) 稲葉郡市橋村大字西之庄にありて岐阜より西南一里ほどなり、亀甲山と號し、浄土宗西山派に属す、文和二年智通上人諸国巡遊の途次此地に来りて葛西庄司の家に宿し、地名を問へば西の庄と答ふ、上人其霊地なるを見て有縁の地となし本寺の基を開く、同四年勅して立政寺の號を賜ふ、堂前に池あり、亀甲池と称し、上人嘗て此池の蛙声喧騒甚しきを厭ひ、避けて他に移り給ひしにぞ池の主なる亀之を本意なく思ひ、蛙声の喧騒を止めて再び上人を請じたりと、それが為め今に至るも此池中の蛙は鳴かずとの奇談あり、尚ほ此の池は蓮花を以て有名なり。」

旅の坊様が通りかかり、この地に寺を築いたのは事実ですが、雨乞いのためではなかったようです。
池の蛙の声が耳について心が乱れてしまったので、坊様はよその土地に移りました。
池の主の亀は責任を感じてしまい、坊様に戻ってきてもらうため、蛙を静かにさせたそうです。
立政寺は浄土宗の寺なので、お寺のお坊さんたちは、もちろん「南無阿弥陀仏」と唱えます。
この阿弥陀様の名号がどのようにして、雨乞いの祈祷の昔話と結びついたのか?
いろいろと興味がわきますね。
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