No.0626
たつこひめものがたり
辰子姫物語
高ヒット
放送回:0392-B  放送日:1983年05月14日(昭和58年05月14日)
演出:杉井ギサブロー  文芸:杉井ギサブロー  美術:馬郡美保子  作画:馬郡美保子
秋田県 ) 36586hit
あらすじ

昔、院内(いんない)の里に辰子という一人の娘がいた。辰子は野山を駆け巡り、自然にはぐくまれて育ち、やがて美しい娘になった。しかしそんな辰子は、まだ自分の美しさに気づいていなかった。

ある秋の日、辰子が木の実を取りに山に入ると、茂みの中に鏡のように澄んだ泉を見つけた。辰子は泉の水でのどを潤すと、何気なく水面に目を落とした。辰子はこの時、初めて自分の姿を見て、その美しさに気がついたのだ。

それからというもの、自由奔放に野山を駆け回っていた以前の辰子は影を潜め、辰子はじっと物思いに沈むようになった。自分の美しさに気づいた辰子は、年を取ってその美しさを失うのが耐えられなかったのだ。「いつまでも美しいままでいたい。」辰子の想いは募るばかり。思いあまった辰子は、毎晩観音堂に通い願掛けをするようになった。すると百日目の夜、辰子にお告げが下った。

お告げはこうだった。「辰子よ、お前の願いは本来、人の身には許されぬこと。しかし、美しさにとらわれて苦しむお前の姿は哀れだ。この山の北にある湖の水を飲むがよい。その水を飲めば永劫の若さを手に入れるだろう。」

翌日、辰子はお告げの通り、山を北へ北へと進んだ。すると、山の鳥、木々のざわめき、果ては風までもが「辰子、村へ帰れ、北へ行くな!!」と言って辰子の行く手を阻む。だが、辰子はこれを聞かず、なおも北へと進む。そうして三日目に、辰子はとうとう湖に着いた。

辰子が湖の水を飲むと、全身の血が熱くなり、体を逆さに流れるようであった。そしてしばらくすると、辰子の体は一頭の龍に変わっていた。しかし、湖面に映る辰子の姿は、いつまでも美しい娘の姿のまま。こうして辰子は、永遠の若さを手に入れ、ずっとこの湖に住んだ。

それからというもの、村にいる辰子の母のもとには、湖から魚が届けられるようになった。これは、辰子が元気に暮らしている証に送ってくるのだと言われている。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-6-26 8:59)


ナレーション常田富士男
出典松谷みよ子(未来社刊)より
出典詳細秋田の民話(日本の民話10),瀬川拓男、松谷みよ子,未来社,1958年07月30日,原題「辰子姫物語」,採録地「仙北郡」
場所について田沢湖(辰子姫の竜の棲む湖)
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地図:田沢湖(辰子姫の竜の棲む湖)
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※掲載情報は 2012/6/26 8:59 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
7件表示 (全17件)
ゲスト  投稿日時 2013/3/3 1:12
昔、今の秋田県仙北市田沢湖神代の神成沢という地に三之丞と呼ぶ家があった。
父親を早くに失い、母と2人で暮らしていたが、一人娘の辰子は近在には見ることのできないほどの希な美しい娘であった。
そのころ、このあたりの娘たちは、春になれば山菜を摘みにこだしを肩にかけて出かけるのだった(こだし・・・山菜を入れるかご)山にはゼンマイ、わらび、ふきのとう、タラの木の芽などがたくさんあって、体の芯まですがすがしくなるような食べ物があふれていた。
秋になれば娘たちがみんな揃って矢萩を刈り、夕暮れになると野菜をたくさんもらった馬が喜びひづめをならして家路につくのだった。辰子も胸を喜びにふくらませながら馬の背にまたがり、すすきの原の中を走らせるのだった。そんなときの辰子の姿は、たくましく美しさに あふれるのだった。

辰子は家のくらしを助けてよく働き、村の人たちとも仲良くすごしていたので、村のふと美とは自分たちの娘のようにいとしがり、ほこりにも思っていた。
村の人たちは顔を合わせるとよく語り合った。
「辰子ほどの美しい娘がこの世に今までいただろうか。」
しかし、辰子はそんなことは気にも止めなかった。美しいということが、どういうことか考えてもみなかった。ただ生き生きと生きる喜びにあふれて、野や山にみんなと一緒に働き続けていた。

ある秋も深い日のことであった。
一日中、木の実を広いながら山を歩き回った辰子は、泉のそばに座って水を飲み、ほっと一息ついた。上気したほほは赤らんで、髪も乱れていた。辰子は泉をのぞきながら髪をくしでけづりはじめた。水を飲むとき広がった波紋はやがて静まり、水の面は静かに鏡のように澄んで辰子を映しだした。
辰子はふと、くしを動かす手を止めた。
「まあ、なんてきれいな・・・・・・・」白い肌は泉の底から照り映り、なめらかに美しく、大きな瞳は、深い湖のように蒼味をおびて澄みとおっている。いきいきとした唇は、愛らしく、また気品に満ちていた。
「これが私?・・・・・・・私はこんなに美しかったのだろうか?」
辰子は眼をみはった。水鏡の辰子もみはった。そして辰子は呆然といつまでもいつまでも水鏡に映る自分の姿を見つめるのだった。
ゲスト  投稿日時 2013/3/3 1:11
田沢湖が田沢潟と呼ばれていた頃、院内にまれにみる美しい娘、辰子がいた。辰子はその美しさと若さを永久に保ちたいものと、密かに大蔵観音に百日百夜の願いをかけた。満願の夜に「北に湧く泉の水を飲めば願いがかなうであろう」とお告げがあった。

辰子は、わらびを摘むと言ってひとりで家を出て、院内岳を越え、深い森の道をたどって行くと、苔蒸す岩の間に清い泉があった。喜び、手にすくい飲むと何故かますます喉が渇き、ついに腹ばいになり泉が枯れるほど飲み続けた。

時が過ぎ、気がつくと辰子は大きな龍になっていた。龍になった辰子は、田沢潟の主となって湖底深くに沈んでいった。

一方、辰子の母は娘の帰りを案じ、田沢潟のほとりに着き、娘が龍になったのを知って悲しみ、松明にした木の尻(薪)を投げ捨てると、それが魚になって泳いでいった。後に国鱒と呼ばれ、田沢湖にしか生息しなかった木の尻鱒という(田澤鳩留尊佛苔薩縁起より)

さて、十和田湖を南祖坊に追われ、男鹿半島に八郎潟をつくり主となった八万太郎は、毎年秋の彼岸の頃、田沢湖に恋人の辰子を訪ねて冬を過ごすため、主のいない八郎潟は凍りつき、2人の龍神が住む田沢湖は冬の間も凍らない湖として知られている。(三湖物語より)
神永野恵瑠  投稿日時 2012/9/10 10:00
「ふき姫物語」もそうだったけど、「辰子“姫”物語」と言っても“お姫様”の位に就いている訳ではないのだな。  

“辰子”・・・杉井ギサブロー的には『悟空の大冒険』ですね!(嘘。あっちは“竜子”)
辰子姫と言えばその昔、森永製菓のハイソフトキャラメルのおまけカードに記されていた伝説抄話を思い出します。(抽選で“辰子姫のおまもり”が当たるキャンペーンもあったな)

馬郡美保子回の最高傑作じゃないですかね。
その、ぼうとした幽幻性や神秘性、華麗な色使い(この人の描く暖色は本当に温もりを、寒色は身を切られる冷たさを感じる。絵なのに)に思わずため息。
恐らく『まん昔』唯一のフルヌードシーンもいやらしさよりも美しさを感じる。

それにしても考えさせられる話。
自分がきれいでみっともなくて、じまんでかわいそうで、なつかしくていやなやつなのか・・・と、同じ辰子姫伝説を取り扱った斎藤隆介『おかめ・ひょっとこ』では辰子姫(ここでは“田ッ子様”)は葛藤のうちに、水鏡の様な田沢湖にその身を投じたが・・・。
禍々しい姿になっても永遠の自己満足の中で生きる事は本当に幸せなのか、そうでないのか・・・。

いずれにせよ・・・
「ヒデ、竜はかなしいかなしいなァ。」
マルコ  投稿日時 2012/4/23 22:18
えっ!?アニメでは辰子姫はイワナ食べていなかったんですか!!
マルコが読んだ日本の妖怪?大辞典のまんがにはイワナを食べて変身したことになってましたよ!!
beniko  投稿日時 2012/4/23 3:07
アニメ内での辰子姫はイワナ食べたりしなかったと思いますが、原作では食べたという事でしょうか?※アニメの辰子は、永遠に若く美しくいたいと神さまにお願いして竜になった。
辰子姫と八郎潟の八郎は、恋人です。(恋人っていうか恋仲?!)
マルコ  投稿日時 2012/4/22 17:26
確か・・・辰子姫も八郎と同じくイワナ食べて竜になったみたいなんだよね・・・。百日参りしていたら近くを流れていた川だか池だかに泳いでたイワナが美味しそうだったので食べてしまいました~!という感じだったと思う・・・。図書館で借りた妖怪?の本で読んだから知ってる・・・。八郎と違うところはイワナを生で手掴みでガツガツ食べたこと!!かな?
araya  投稿日時 2011/12/8 20:50
『秋田の民話』(松谷みよ子,未来社)によると、仙北郡で採録された話で、舞台は院内の里。辰子が院内岳の大蔵神社に百日参りして竜となり田沢湖の主となったったことから、二ヶ所をポインティング候補としてあげておきます。

大蔵神社 http://g.co/maps/24ryc
田沢湖 http://g.co/maps/j95t2

この話、原作を読むと「八郎潟の八郎」と姉妹作品になるんですね。しかも十和田湖の八郎を追い出した南祖坊に言い寄られるも、八郎潟の八郎と恋仲になるという後日談まであるそうで…。昼ドラ的恋の三角地帯( ̄∀ ̄;?
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