No.0606
かなうま
金馬

放送回:0379-B  放送日:1983年02月12日(昭和58年02月12日)
演出:前田康成  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:前田康成
要調査 / 熊本県 ) 15764hit
あらすじ

ずうっと昔のこと。隅田川の河口は、洲崎あたりで有明海にそそいでおり、そこは白砂の浜になっていて、それは美しい所でした。この辺りの村人は夕方になると、野良仕事で汚れた馬をこの浜に引いてきて、綺麗に洗ってやるのが習わしでした。

ある日、寺尾の「吾市」という若者と父親が馬の「アオ」を洗いに浜にやってきました。吾市がアオを洗ってやっていると、突然、アオが「ヒヒーン!」といなないて暴れ始めました。そうしてアオは、何かとても強い力でずるっ!ずるっ!と海の中へ引き込まれてしまいました。

村では、それからも馬が海に引き込まれる事件が続きました。「海の神様がこぎゃん悪戯ば、しなはるはずがなか。きっと何かほかのもんに違いなか。」アオが可哀そうでならない吾市は、岬の松の上から海を見張ることにしました。

そして七日目の夕方のこと。浜にはいつものように馬を洗う村人達の姿がありました。と、突然、海の底から見たこともない程の大ダコが現れ、吾市が危険を知らせる暇もなく、馬を海の中に引き込んでしまいました。怪物の正体は大ダコだったのです。

吾市と村人達は、大ダコ退治のために鉄でできた「金馬」を作り、浜に仕掛けました。金馬の胴の中には火のついた炭を入れ、4本の脚は浜に打ち込んだ杭にしっかりと結びつけているのです。そうして、今や金馬の胴や背は真っ赤に焼けて、うすい煙が立ちのぼっているのでした。「海に住むもんが火の恐ろしさを知るはずがなか。大ダコめ、真っ赤に焼けた鉄の恐ろしさを思い知らせてやる。」

やがて金馬に気づいた大ダコは、いつものように馬を海へ引きこもうと足をのばします。しかし、金馬はびくとも動きません。焦った大ダコは、全身を金馬の胴体に巻きつけて一気に海へ引き込もうとしました。ところが相手は真っ赤に焼けた金馬だったからたまりません。大ダコの体はジュウジュウと音を立てて燃え上がりました。それからしばらく、浜には大ダコの焼ける異様な匂いが漂っていたといいます。

こうして吾市はアオの敵をうつことができ、村人たちも安心して馬を洗うことができるようになったということです。

(投稿者: ニャコディ  投稿日時 2011-12-10 9:18)

ナレーション未見のため不明
出典クレジット不明
出典詳細熊本のむかし話(熊本県小学校教育研究会国語部会,日本標準)に同名のお話あり、舞台は天草の下島の佐伊津村とのこと
場所について天草市佐伊津町の金ヶ丘(かながおか)
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地図:天草市佐伊津町の金ヶ丘(かながおか)
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※掲載情報は 2011/12/10 10:38 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2016/10/21 9:05
馬を引きずりこむ程の大ダコって恐らく10m以上ですね。ダイオウイカもそのくらいになるから決してあり得ない話ではないかも知れませんが。
beniko  投稿日時 2012/9/4 8:44
こんにちは。投稿内容について、質問があります。

●橋がかかっている所とは、具体的にどこの事かわかりませんでした。(グーグルマップで橋の位置が明確に判断できませんでした)場所についてもう少し細かく指定頂けませんか?

●顔無し地蔵(延命地蔵)は、つまりまんが日本昔ばなしでアニメ化されている、という事でしょうか。という事でしたら、アニメ化されているタイトルは何ですか?(確認したところ、アニメタイトルで顔無し地蔵というお話は存在しないので、どれのことだかわかりませんでした)

ヨロしくお願いします。
Suu  投稿日時 2012/9/3 19:55
場所は、天草市佐伊津町の金ヶ丘にマッピングしました。もし間違っていましたら、お手数ですがもう一度お知らせください。

=>私は、佐伊津町洲ノ崎出身で、確かに金ヶ丘は、その辺り一帯を指しますが…もともと洲ノ崎の現国道のところが海岸線で砂浜があったから、丁度、橋がかかっているところ辺りが事件現場では無いでしょうか?
ちなみに、私が小学校の頃は、学校通信の名前が「かなうま」だったと記憶しています。
ちなみに、私の町には、もう一つ「顔無し地蔵(延命地蔵)」の話があります。(注;ジ〇リではありません。)
beniko  投稿日時 2011/12/11 0:02 | 最終変更
最初、紅子もかなうまかなっとおもっていたんですが、地名に合わせて先ほどかねうまに変更してしまっていました。。。かなうま、ですね。元に戻しました!教えてもらってありがとうございました。※紅子熊本なんですけど、このお話は知りませんねえ、生きてる間に是非アニメを見てみたいです。
ニャコディ  投稿日時 2011/12/10 23:50
細かいことなんですが、すみません。
タイトルは確か金馬(かなうま)だったと思います。
なんか思い入れのある話なので、たぶんそうだったと思います。
細かいこと言ってすいません。その土地の民話等でご確認いただけたら幸いです。宜しくお願いいたします。
ニャコディ  投稿日時 2011/12/10 11:32
こちらこそありがとうございます~。

私も詳しい地名とか場所とか、良く分かっていなかったので、こうやって地図におとしていただくと、とてもイメージがしやすく助かります。

みなっせクマモトのサイトでは、冒頭部分で天草市佐伊津町のお話と紹介されていましたので、金丘(金ヶ丘)で間違いないと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。
yassan  投稿日時 2011/12/10 11:02
情報提供ありがとうございました!!あらすじを転記しました。

場所は、天草市佐伊津町の金ヶ丘にマッピングしました。もし間違っていましたら、お手数ですがもう一度お知らせください。
ニャコディ  投稿日時 2011/12/10 9:18 | 最終変更
今回のあらすじは、「熊本ポータルサイト みなっせクマモト」というH.P.(現在は消失?)で、肥後むかし話として紹介されていた内容を参考に、私の記憶とあわせて再構成したものです。また、細かい地名、人名はそのサイトで紹介されていたものを転記しています。
【サイトで紹介されていたその他の地名情報】
※文字数の関係から今回のあらすじではカットした地名も含みます
 ・天草は下島の佐伊津村(現在の本渡市佐伊津町)でのお話
 ・隅田川は上在郷、下在郷、寺尾の3つの部落を過ぎると、洲崎部落で有明海にそそぐ
 ・浜からは屋根の形をした談合島(湯島)や、その向こうの九州本土が見える
 ・浜の北には、流れの急な早崎海峡を隔てて、雲仙岳が見える
 ・この事件があってから、この村の辺りを「金馬」と呼ぶようになり、後に「金浜」といわれたりもするが、今では「金丘」と呼ばれている。

このお話は現在動画が手に入らないので、今回のあらすじはきちんと内容を確認したものではありません(荒いあらすじで申し訳ないのですが、忘れるといけないので投稿しました)。加筆、修正、再編集など大歓迎です。また動画についての情報をお持ちの方は、是非、ニャコディにも教えてください。宜しくお願いします。

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