昔、愛媛の宇和島に、善兵衛という山菜売りの男がいました。善兵衛は、朝から晩まで走りっぱなしで働き、雨の日も風の日も走って走って働きました。
そんなある日、走りっぱなしの善兵衛の目玉がゆらゆらブカブカゆるんできて、とうとう目玉が落ちてしまいました。善兵衛は、目玉を拾って元の所にはめ込み、何事もなかったようにまた一日よく働きました。
その日は、早々に山菜が全部売れたので、村の鎮守さまに立ち寄る事にしました。たまたまその日は闘牛が行われていて、大勢の人だかりができていました。善兵衛は牛を良く見ようと、目玉を外して長い棒の上に取りつけた傘の上に目玉を乗せました。
棒を高く掲げて闘牛観戦をしていると、空からカラスが降りてきて、善兵衛の目玉をくわえて飛び去っていきました。善兵衛は目玉を無くしてしょんぼりと家路につきましたが、ラッキーな事に家の庭先に目玉が落ちていました。
善兵衛は喜んで目玉をはめ込みました。しかし、向きを反対に入れてしまったので、腹の中の臓器がよく見えていました。腹の中がよく見える目玉のおかげで、どんな病でもたちどころに治す名医になり、おかげで大金持ちになりましたとさ。
(紅子 2012-7-14 2:02)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 愛媛県 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第055巻(発刊日:1984年1月) |
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