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No.0057
おおぬまいけのこくりゅう
大沼池の黒竜
高ヒット
放送回:0033-A  放送日:1976年05月22日(昭和51年05月22日)
演出:水沢わたる  文芸:沖島勲  美術:山守正一  作画:スタジオアロー
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悲恋の果てに人間と添い遂げた竜の話

昔、信州中野鴨ヶ岳(かもがたけ)の麓に小館城(こたてじょう)という城があり、城主の高梨摂津守政盛(たかなしせっつのかみまさもり)には黒姫という美しい姫君がいた。

ある春の日の事、政盛達が花見の宴の最中に一匹の白い蛇が現われ、上機嫌の政盛は黒姫に蛇にも酌をしてやるよう勧めた。黒姫が盃を蛇の前に差し出すと蛇は酒を飲み、しばらく黒姫を見つめた後去っていった。

その夜、黒姫の所に一人の立派な若者が訪れ、黒姫に自分の妻になって欲しいと言う。若者の言葉に黒姫は戸惑い、まずは政盛から許しをもらうよう答えると、若者は自分が来た印として鏡を置き消えていった。

若者は大沼池の主の黒竜であり、昼間の宴で黒姫に盃をもらって以来黒姫の事が忘れられなくなったのである。黒姫をさらうのは道理に反するため、若者は毎日城に通いつめ政盛に同じ願いを繰り返したが、政盛も大事な娘を竜の化身に渡すわけにはいかず、若者の申し出を断り続けた。

そして若者が訪れてから100日が経ち、政盛は明日馬で城の周りを21回走り、その後を遅れずについてくる事ができれば黒姫をやると若者に約束した。翌日、政盛が馬に乗り城の周りを走り始めると若者も自らの足で後を追い始めたが、若者はやがて疲れ出し黒竜の姿に戻ってしまう。

途中家来達に邪魔されながらも黒竜は死に物狂いで21回走り終えたが、政盛は約束を破り黒竜を切り殺そうとする。この仕打ちに黒竜は激怒し、怨みの言葉を吐くと傷付いた体で鴨ヶ岳の頂上へと昇っていった。

その途端、辺り一面は大嵐に見舞われ、激しい風雨と洪水が罪も無い村人達を襲った。心優しい黒姫はこれを見て、約束を守るのでどうか嵐を鎮めて欲しいと黒竜に呼びかけ、黒竜の鏡を空に投げた。すると黒雲の中から黒竜が現れ、黒姫を背に乗せると大沼池を捨て新しい山へと向かい飛んでいった。

こうして黒竜と黒姫は新しい山に一緒に住む事になり、それ以来この山は「黒姫山」と呼ばれ、今も山頂には黒竜と黒姫が幸せに暮らしているという。

(投稿者: お伽切草  投稿日時 2013-7-1 19:14)


参考URL(1)
http://www.kitashinanoji.com/minwa/naganochiku/shinanomachi/mukashimukashi/hanashi/kurohime.heml.html
参考URL(2)
http://www.hunterslog.net/dragonology/ryujatan/chubu/kurohimeyama/01.html
ナレーション常田富士男
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第10集(DVD第48巻)
VHS情報VHS-BOX第1集(VHS第10巻)
場所について黒姫山
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地図:黒姫山
追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第12巻-第059話(発刊日:1977年2月15日)/童音社BOX絵本_第55巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート2-第095巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第011巻(発刊日:1977年10月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「長野県の昔ばなし」
童音社の絵本より絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「長野県の昔ばなし」
講談社の300より書籍によると「長野県のお話」
このお話の評価7.9474 7.95 (投票数 19) ⇒投票する
※掲載情報は 2013/7/1 20:26 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
9件表示 (全9件)
桔梗  投稿日時 2021/1/9 12:04
子供の頃、初めて観た時は、黒姫の自己犠牲の物語だという印象を持ちました。

大人になって見返すと、黒姫は龍に愛情があり、自らの意志で龍の元に嫁いだのだと分かります。

Perenna  投稿日時 2020/12/1 23:09
このアニメの昔話の出典は、角川書店の「自然の精霊・日本の民話2」ではないでしょうか?
「むかし、信州中野の鴨が岳のふもとに小舘城という城があった。その城に高梨摂津守政盛という殿さまが住んでいたころのことである。」という書き出しで始まっています。
黒竜のセリフもアニメと似通ったものが多いです。
「礼を尽くしてきた返報がこれか。よし、この上は湯の山四十八池を切って落とさん」
「許してください、姫。人間に裏切られたと知ったとき、わたしの心の中に、わたしにもどうにもならない荒れ狂うものがあったのです。しかし、姫の優しい心に触れて、わたしの心も生まれ変わることができそうです。姫よ、許してください。もうけっしてあのようなことはしません」

巻末の参考資料には「信濃の民話」(未来社、昭和33年)と書かれています。
どうやら再話者の松谷みよ子は、未来社の民話シリーズに掲載されている話を改めて書き直したらしいですね。
夾竹桃  投稿日時 2018/7/8 15:15
おのれ図ったか。さんざん礼を尽くし、
今日まで通いつめた答えがこれか。
もう許さん。ゆの山四十八の池を切って落としてやるから、そう思え!
お月さん  投稿日時 2017/8/9 8:21 | 最終変更
娘さん、お父さんの所有物でない。死に物狂いで21周、、、。約束を守りましょう。
ゲスト  投稿日時 2017/1/31 11:52
父親はなんでそんなに龍に娘をやるのが嫌なのかなぁ…?
礼を尽くしてくれた上に子々孫々、国の末永い安寧まで保証してくれて、車や飛行機がない時代に空を飛ぶ事もできるお婿さん、素晴らしいと思うんだけど…

地元の方に伺った話だと、黒姫様は今でも年に一回里帰りに帰ってくるんだとか…
あんな酷い目にあったのに奥さんに里帰りをさせるなんて、見かけは怖ろしいけど心はとても優しい黒竜様を感じました。

ゲスト  投稿日時 2016/2/17 19:49
小さいときに見て、関係ない村人カワイソスwって思いました
ゲスト  投稿日時 2015/10/31 13:11
2年も前のコメに突っ込むのもアレだが…話のポイントを読み取れてないのが人として怖かったので…。
まずストーカーだったら、自分の妄想で突っ走るよw
「本人から聞いてないけど、姫も俺のことが好きなはずだー!(妄想)
親の許可?姫は嫁に来たいのに(妄想)親が邪魔してるのかー!食ってやるー!
姫は嫁に来たいのに(妄想)家臣や村人が反対してる?洪水起こしてやるー!
住めなくなったから、姫連れて去ってやるー!」
こんな感じで、本人や親にコンタクトとる前に、身勝手に姫の周りに災難ふっかけるんじゃない?

悪質で強引って言ったら、よくあるのが本人にプロポーズする前に、
「娘が気に入ったー!嫁によこせー!嫌なら洪水起こすぞー!」って脅すタイプだろう。(それこそ相手の意思は?って話だが…。)

多分、この龍は姫を幸せにできるだろうなって思えるポイントは
・まず、本人にプロポーズしに来た。
・自分の素性明かしてる。
・問答無用にさらっていこうとしない。
・親の許可と言われて、素直に「娘さんをください」と人の姿で親に頭下げに来た。
・無理難題押し付けられても、親御さんに認めてもらうため、人間の姿でクリアしようとする。

まあ、それでやっとクリアしたのに約束守らない上に殺されそうになったら、さすがに怒るって。
姫にしたって、最初は「誰こいつ?」って感じだろうけど、親にも挨拶して、「姫が好きだから、親父さんに認めてもらうために頑張るよ!認めてもらえたら、どうか結婚してください!」って感じで頑張ってたら、心を動かされるところあるでしょうよ。

意味履き違えて「俺こんな好きなのになんで嫁に来てくれないのー?なんでー?なんでー?」としつこく「強引な男」をやると、旅の勇者に退治されて、娘さんも助けてくれた男の嫁さんになるのがオチよw
ゲスト  投稿日時 2014/10/13 19:18
ストーカーというにしては、別に姫に直接迫ってるわけじゃないし親に許しを得ようと通ってただけだからなあ…
(姫の気持ちはどうなるのかという話だけど、その頃の結婚事情を考えると一概にいえないし)
親側もどうしても嫌ならきっちりと突っぱねればよかったのに、下手に約束した上にそれを破って斬り殺そうとすればそりゃ怒る
ましてや相手は人ならざる龍。誠意を尽くしてお断りした上で洪水起こされたなら龍が100%悪いけど、
これは少々人間側に同情し切るのは難しいお話だね
ケス123  投稿日時 2013/8/27 16:28
純愛物語っぽくなってるけど、
この竜は自分のことしか考えていない悪質なストーカーだと思うのだけれど…。
男はこれぐらい強引な方が、好きな子に振り向いてもらえるってコトでしょうか?(笑)
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