No.0466
てんぐすぎ
天狗杉
高ヒット
放送回:0292-A  放送日:1981年06月06日(昭和56年06月06日)
演出:大竹伸一  文芸:沖島勲  美術:高松良己  作画:大竹伸一
奈良県 ) 32131hit
あらすじ

昔、奈良の山奥に大層古い寺があった。寺の周りの沢山の杉の木には、たちの悪い天狗たちが住んでいて、夜な夜な回廊の燈篭を壊したり、回廊を油まみれにしていた。

ある日のこと、芙岳(ふがく)という小僧が「寺の杉を全部伐り倒せば、天狗たちの住む場所はなくなるだけでなく、寺の修理の木材も手に入るでしょう」と提案したが、和尚からは「勉強もろくにしないで、なんてことを言うんじゃ。」と怒られてしまった。

元々、勉強嫌いの芙岳だったが、天狗たちの冷やかしや仲間たちの誘いにも耳を貸さず、来る日も来る日も一心不乱に勉強した。長い年月が流れ、六十六歳になった芙岳は本当に大僧正になった。

芙岳は、全国から木こりたちを集めて、寺の増築の為、杉の伐採を命じた。天狗たちは芙岳が実行に移したものだから、大慌てするばかりだった。天狗たちは彼の許に来て、悪戯のことを詫び、伐採をやめてほしいと哀願したが、芙岳は聞き入れなかった。

杉の木は次々と伐られていき、沢山あった杉の木は残すところ一本となった。逃げ場を失った天狗たちはただ泣くばかりだった。木こりが最後の杉の木を伐ろうとした時、芙岳が止めた。

芙岳は「考えて見れば天狗たちのおかげで勉強が好きになったのだ。いわばわしの恩人だ。一本くらい残してもいいだろう」と言った。この時の杉の木は、天狗杉と呼ばれるようになった。寺の増築が終わってからは、天狗たちは芙岳の許を訪れては学問を教わった。

人間、何がきっかけでやる気を起こすかもしれない、ということだ。

(投稿者: Kotono Rena 投稿日時 2013-10-22 23:36)


参考URL(1)
http://blogs.yahoo.co.jp/abusanno12/14184220.html
参考URL(2)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~t-ue/hasedera-tengusugi.html
ナレーション常田富士男
出典奈良県桜井市
DVD情報DVD-BOX第10集(DVD第46巻)
場所について奈良県桜井市初瀬731-1 長谷寺
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地図:奈良県桜井市初瀬731-1 長谷寺
追加情報
本の情報国際情報社BOX絵本パート2-第065巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第070巻(発刊日:1987年2月)
講談社の300より書籍によると「奈良県のお話」
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※掲載情報は 2013/10/23 1:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
3件表示 (全3件)
Perenna  投稿日時 2021/5/14 22:59
この昔話は、「日本の伝説13・奈良の伝説」(角川書店)にも紹介されています。
「長谷寺の仁王門を入って、一の回廊をのぼりつめたところの右側に、一本の大きな杉がそびえている。これを天狗杉という。長谷寺第十四世の能化(のうげ、管長)英岳大僧正は、伊賀の上野の生まれで、小僧から長谷寺で修行した。英岳の師の寺は貧乏だったので、毎晩回廊の釣燈籠の灯をつけてまわり、残りの油を貰って自分の部屋の行燈(あんどん)に灯をつけて勉学した。そのころ回廊の左右に大杉が茂っていて、そこにすむ天狗がいたずらをして、釣燈籠の灯を消し、油皿をひっくりかえすので、英岳は、「天狗といえどもけしからぬ、わしがこれから修行して長谷寺の能化となり、天狗のすむ杉を一本残らず伐り払うぞ」と言って発奮し、それから五十年、六十六歳にして能化となった。」と書かれています。
アニメではお坊さんの名前は「芙岳(ふがく)」となっていますが、「英岳(えいがく)」のほうが正しいようです。
もんた  投稿日時 2020/2/26 11:07
天狗が空を飛べるとは知りませんでした。
ゲスト  投稿日時 2016/1/23 13:41
この話を今の子供たちに教えたい。
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