Re: 天狗杉
投稿者:Perenna 投稿日時 2021/5/14 22:59
この昔話は、「日本の伝説13・奈良の伝説」(角川書店)にも紹介されています。
「長谷寺の仁王門を入って、一の回廊をのぼりつめたところの右側に、一本の大きな杉がそびえている。これを天狗杉という。長谷寺第十四世の能化(のうげ、管長)英岳大僧正は、伊賀の上野の生まれで、小僧から長谷寺で修行した。英岳の師の寺は貧乏だったので、毎晩回廊の釣燈籠の灯をつけてまわり、残りの油を貰って自分の部屋の行燈(あんどん)に灯をつけて勉学した。そのころ回廊の左右に大杉が茂っていて、そこにすむ天狗がいたずらをして、釣燈籠の灯を消し、油皿をひっくりかえすので、英岳は、「天狗といえどもけしからぬ、わしがこれから修行して長谷寺の能化となり、天狗のすむ杉を一本残らず伐り払うぞ」と言って発奮し、それから五十年、六十六歳にして能化となった。」と書かれています。
アニメではお坊さんの名前は「芙岳(ふがく)」となっていますが、「英岳(えいがく)」のほうが正しいようです。