No.0409
せんがめじょ
千亀女
高ヒット
放送回:0256-B  放送日:1980年09月27日(昭和55年09月27日)
演出:しもゆきこ  文芸:沖島勲  美術:しもゆきこ  作画:しもゆきこ
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あらすじ

昔、鹿児島県は志布志に、たいそう美人と評判の、千亀女という娘とその母親がいました。その美しさを一目見ようと、千亀女が通るたびに、多くの人々が集まるのでした。そんなわけでしたから、母親は千亀女を連れて町を歩くのが何よりの楽しみでした。

ところがある日、お寺に美しい観音様が迎えられます。すると観音様を見た人々は、「あの千亀女も観音様にはかなうまい。千亀女は二番じゃ」と、噂しだします。ショックを受けた母親は、試行錯誤しながら千亀女を一番にさせようとしましたが、結局一番美しいのは観音様だ、と言われてしまいます。泣き出してしまった千亀女を見て、母親はある行動に出ます。

真夜中のことです。千亀女と母親は、誰もいないお堂から観音様を引きずり出し地面に寝かせました。そしてなんと、観音様のお顔を燻し始めたのです。そうして観音様のお顔が煤(すす)で黒くなったのを確認すると、何事もなかったかのように、観音様をお堂に戻しました。「これでまた、千亀女が一番じゃ・・・」そういうと、千亀女を母親は満足そうに帰っていきました。

その翌朝。自分の顔を鏡でみた千亀女は驚きました。顔が煤だらけになっていたのです。そしてそれは、どんなに洗ってもこすっても、二度と落ちることはなかったのです。母親は後悔しましたが、もうどうしようもないことでした。ただ、こんなことになった娘を、前よりも一層大事にしたのでした。

また、不思議なことに、煤で汚れたあの観音様のお顔は、元通り綺麗になっていたということです。

(投稿者: 十畳 投稿日時 2011-8-3 17:40 )


ナレーション常田富士男
出典(表記なし)
VHS情報VHS-BOX第5集(VHS第46巻)
場所について鹿児島県志布志市志布志町帖6539(宝満寺)
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地図:鹿児島県志布志市志布志町帖6539(宝満寺)
追加情報
本の情報国際情報社BOX絵本パート2-第071巻(発刊日:1980年かも)
講談社の300より書籍によると「鹿児島県のお話」
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※掲載情報は 2011/8/4 4:35 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
3件表示 (全3件)
Perenna  投稿日時 2021/5/4 0:59
この昔話は角川書店の「日本の伝説11・鹿児島の伝説」にも収録されています。
文を書いたのは「大造じいさんとがん」で有名な、椋鳩十先生です。
千亀女とその母親が、深夜の宝満寺に忍び込み、観音像の顔を松葉でいぶした光景は、次のような文章で言い表せますね。
「それは、人間とはいえ、いかにもうぬぼれの強い女性らしい、神仏をもおそれえぬ、堂々たる態度のようであった。」

欲にまみれた、あさましい人間であることをかえりみず、清らかで高貴で美しい観音様と張り合おうとするなんて・・・
仏罰がくだるのも当然といったところなんでしょうか?
マルコ  投稿日時 2013/3/22 14:05
千亀女伝説・志布志探検マップより引用
 
いつの頃か,宝満寺近くの向こう川原に,藤兵衛夫婦が住んでいました。裕福 で何不自由なく幸せに暮らしていましたが,残念なことに子供に恵まれないの が一 つの悩みでした。そこで,夫婦は宝満寺の観音様にあやかって子供が授 かるようにと,毎日熱心にお祈りしました。
 宝満寺の本尊は,鎌倉時代の有名な仏師運慶が,一世一代の傑作として心 魂傾け た如意輪観音です。その美しさは,何物にも例えようがないほど優美 で,ほほ笑みをたたえた観音様でした。その霊験はあらたかで,特に安産にご 利益がある ということで,近郷はもちろん遠くからの参詣人で,引きも切らさぬあ りさまでした。
 一心にお祈りしたかいあって,まもなくかわいい女の子が生まれました。夫婦 の喜 びようは大変なもので,美しく健やかにいつまでも長生きするようにと,「千 亀」と名付け,蝶よ花よとかわいがり,大事に育てました。
 いつものことながら,夫婦は千亀をつれて観音詣りをすませ,町の様子を見物 しな がら歩いていると,ふと,誰言うことなく聞こえてきたのは,
「観音様と千亀女はどちらが美しいだろうか。」
という人々のうわさでした。
 町の人々はいつのまにか,千亀の美しさを,観音様と比べささやくようになって い たのです。
人々の評判はやはり観音様の方が美しいということになり,夫婦にとってはき にな る雲行きになってきました。それもそのはず,人々の心をうっとりひきつけて しまうほどきれいな観音様は,天下の名工運慶の作った逸品だったのです。
 夫婦は,千亀を三国一の娘と自慢していましたので,その話を伝え聞いて,大 変悔 しく思うようになりました。とうとう母親は,観音様に授けてもらったことも忘 れて大恩ある観音様に嫉妬して「娘かわいさ観音憎し。」ということになりまし た。(観音様より美人にしたいが,何とかならないものか。)と毎日思うようになり ました。
 そしてある夜,母親は人々が寝静まった頃を見計らって,ひそかに用意してい た生 松葉をもって宝満寺に向かいました。忍び足で辺りをうかがいながら本堂 に忍びこみ観音様に近づくと,生松葉をくすべ始めました。真っ黒な煤煙はもくも くと立ち 上り,今までほほ笑みを持った気高い観音様の顔は,見る見るうちに 真っ黒くすすだらけになり醜いお顔となってしまいました。母親は,(これでもう娘 千亀女に勝る 美人はいなくなったぞ。)と,ほっと胸をなで下ろして我が家に帰 り,その夜が明けるのを待ちました。
 あくる朝, 「今日の観音様は,一段ときれいだ。」 と人々が声高に話しながら 家の前を通っていきます。母親はそんなはずがないと不審に思い,宝満寺に様 子を見に行ってきました。
 観音様に近寄って見ると,真っ黒にいぶしたはずの観音様は,これまたいった いどう したことでしょう。醜い顔のはずの観音様は,前にもまして神々しく美しく 輝いて,しかも,あの,人の心をうっとりひきつける優しい温和なお顔を失ってお りません。母 親はがっかりして家に帰りました。
 悔しい思いのまま母親が家に帰ってみると,娘の千亀女が顔を押さえてシクシ ク泣い ています。驚いて駆け寄ってみると,これはまたどうしたことでしょう。花 の千亀の顔半分が昨夜の観音様のように真っ黒く醜い顔になっています。その うえに,あろう ことか,片方の足だけが大きくなってしまいました。
 そんなことがあってからは,あわれにも千亀はその足を隠すために着物の裾を 長く引 いて歩かねばならなかったのでした。やがて,何時とはなしに町の人々 は,

「志布志千軒町ゃ 笹箒(ささぼう)きゃいらぬ むぞか千亀女の裾ばわき」
(志布志千軒町には笹ぼうきはいらない。かわいい千亀女の裾ぼうきではわく)
と歌うようになりました。

 藤兵衛夫婦は,観音様へのお詫びと,娘の千亀がもとの美しさに戻ることを願っ て諸国 行脚の遍路の旅にでましたが,ついに千亀女はもとにもどらなかったそ うです。それ以来,千亀女のような美人は,志布志千軒の町では見かけなくなったということです。

酒は飲めないマルコですが、一応、千亀女つながりということで若潮酒造さんの芋焼酎「千亀女」を紹介したいと思います。

昔ながらの黒麹と名水「水源殿」を用い一次・二次ともにかめ壷で仕込んだ限定酒です。さらに鹿児島県内でも数軒の造り酒屋しか使われていない木桶蒸留器で丹念に蒸留し原酒をかめ壷でじっくり貯蔵するといったこだわりぶりです。
落ち着きのある香り立ちの中に穏やかな木の風味が漂います。かめ壷で熟成された甘みのあるまろやかな香味が特徴です。取扱店・数量限定酒。
十畳  投稿日時 2011/8/3 17:40 | 最終変更
十畳が、DVDに収録されないことにショックを受けたお話の一つです。
(一応VHSは持ってるんですが)
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