昔、貧しい村に住む千三(せんぞう)と万三(まんぞう)という仲良しの若者が、上方へ出て働くことになった。千三は一生懸命働き、万三は悪い道に入り仕事もせずぶらぶらしていた。
村を出てから三年たった頃、千三と万三は久しぶりに故郷へ帰ることにした。その帰路の途中、万三は千三の貯めた金に目がくらみ、千三の首を刀で切り落としてしまった。千三の死体を近くの竹やぶに埋め、何食わぬ顔して一人で故郷に戻った。
それから三年、再び上方へ働きに出ることになった万三が、千三を埋めた竹やぶ近くを通ると、千三のしゃれこうべが話しかけてきた。「おらが歌うから一緒に金を儲けよう」万三は、歌うしゃれこうべの見世物小屋を作り、大変な評判となり大金を稼ぐことができた。
やがてこの噂はお殿様の耳に入り、不思議なしゃれこうべの歌を聞こうと万三をお城に呼び寄せた。するといつも軽やかに歌っていた千三のしゃれこうべは、この時ばかりはウんともスンとも言わなかった。
お殿様は激高し、万三を捕らえて打ち首にした。万三も千三と同じように首を切られてしまったというわけだ。
(紅子 2011-11-1 1:07)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 瀬川拓男(角川書店刊)より |
出典詳細 | 残酷の悲劇(日本の民話10),瀬川拓男,角川書店,1973年6年25日,原題「しゃれこうべの歌」,伝承地「九州地方」 |
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