昔、久高島に金松兼(カネマツガネ)という元気で心優しい男の子がいた。
ある日金松兼は、母親の思樽(オミタル)に、なぜ自分には父親がいないのか訊ねた。実は金松兼は王様の子で、思樽が身ごもりお腹が大きかった頃に大勢の前で屁をふってしまい、王様から城を追い出されたという過去を知った。
事実を知った金松兼は、可哀そうな母親に男として何もしてあげられない事を悲しみ、神様に祈った。高い崖の上から海に飛び込こんだ金松兼は、暗い海の底に黄金の瓜を見つけ、そのウリを持って王様の住む首里に向かって出発した。
首里城に着いた金松兼は、「金の瓜のなる種はいらんかねぇ~」と大声で叫んだ。しつこく門前をうろつく金松兼は、ついに首里城内に招き入れられた。金の瓜種を見た王様は、「本当に金の瓜がなるのか?嘘だったら子供でも容赦しないぞ」と念を押した。
王様を恐れることなく、金松兼は言った。「確かに金の瓜がなります。しかしこの金の瓜は、屁をふらぬ女が植えなければなりません」その言葉を聞いた王様は、この男の子が自分の子供であることに気が付いた。王様は思樽を追い出した事を後悔し、金松兼と思樽を首里城に呼び寄せ、思樽を王妃に金松兼を王子として迎え入れた。
(紅子 2011-10-9 22:23)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 乱世に生きる(日本の民話第8巻),松谷みよ子,角川書店,1973年2年10日,原題「金のうり」※かもしれない |
備考 | 久高島の伝説(黄金の瓜種) |
場所について | 久高島 |
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