昔、モグラたちがまだ地上で暮らしていた時のことです。
ある暑い夏の日の事、モグラは畑仕事をしていましたが、毎日の厳しい暑さに参ってしまいました。太陽が西に沈み、辺りが少しひんやりとして良い気持ちになった時、モグラはとんでもないことを思いつきました。
モグラは一族を集め、じりじり照りつける太陽をやっつけようと呼びかけました。反対する者はひとりもおらず、太陽が東の地上に出て来た時、太陽を射落とそうということになりました。
このモグラたちの陰謀を一匹のカエルが聞きつけて、とても驚きました。というのも、カエルには冬が出産予定の身重の女房カエルがいて、太陽が射落とされたら沼も川も凍ってしまい、子供を産めなくなってしまうからです。
旦那カエルは、太陽にこの事を知らせようと、一目散に東の方へ駆けていきました。そして今にも東の空から顔を出そうとしていた太陽を呼び止めて、今までの一部始終を太陽に語って聞かせました。
モグラの陰謀を知った太陽は、カエルをずっと遠くへ避難させ、何食わぬ顔をして昇りました。そして、弓を構えていたモグラたちに向かって通常の二、三倍もの強い光を放ちました。
あまりの眩しさでモグラの目は何も見えなくなり、土の中へ潜ってしまいました。この時からモグラは土の中で暮らすようになったのです。
そして太陽は旦那カエルとの約束を守り、一月の末頃に『どんこの川入り』という『二、三日の間だけ暖かい日を』作ってくれました。おかげで女房カエルは子供を産むことが出来きました。『どんこ』とはカエルのことです。
(投稿者: Kotono Rena 投稿日時 2013-12-04 19:39)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 瀬川拓男(角川書店刊)より |
出典詳細 | 動物の世界(日本の民話01),瀬川拓男,角川書店,1973年5年20日,原題「太陽を射るもぐら」,伝承地「九州地方」 |
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