No.0227
はなしじゅうりょう
話十両
高ヒット
放送回:0141-A  放送日:1978年07月01日(昭和53年07月01日)
演出:高橋良輔  文芸:沖島勲  美術:本田幸雄  作画:梅野源
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あらすじ

昔、ある村に、若夫婦とお婆さんが暮らしていました。何も不自由はありませんでしたが、亭主は急に江戸へ出稼ぎに行きたくなって、出発しました。

江戸に着いた亭主は一生懸命に働き、数年間で三十両の貯金ができました。ある時、亭主はふと実家に帰りたくなりました。実家にお土産を買って帰ろうと思い、街中をうろついていると「話十両」とかかれた看板が目に付きました。

亭主はさっそく十両払って、話を一つ買う事にしました。店主は「大木の下に寄ってはいけない」と話しました。あまりの短さにもう一つ話を買いました。「猫なで声には油断するな」

これまた短い話でしたのでもう一つ話を買ってみましたが、それは「短気は損気」という最も短い内容でした。これで三話で計三十両、ためたお金はすっからかんになり、亭主はトボトボと実家への帰路につきました。

帰る途中、急に大雨が降ってきたので、雨宿りしようと大木の下に駆け込みましたが、虫に驚いて大木から離れました。すると大木に雷が落ちてきて、亭主は九死に一生を得ました。

やがて日も暮れてきたので、一軒の民家に泊めてもらうことにしました。猫なで声の女が出てきて、亭主を快く座敷に案内してくれました。布団に入った亭主が、買った話を思い出してふと天井を見上げると、巨大な岩が吊るされていました。

大慌てで民家から逃げ出し、ようやく実家に帰りつきましたが、家の中に見知らぬ男の姿がありました。激高した亭主が、鎌を手にして切りつけようかと身構えましたが、買った話を思い出して、心落ち着けて家の中へ入りました。

すると、待ちわびていた嫁さんが大喜びで迎え入れてくれました。実は見知らぬ男と思っていたのは、男装していたお婆さんでした。亭主は「あの話が三十両とは安いもんだ」と感心しました。

(紅子 2013-9-16 12:46)


ナレーション常田富士男
出典杉原丈夫(未来社刊)より
出典詳細越前の民話 第一集(日本の民話44),杉原丈夫、石崎直義,未来社,1968年04月30日,原題「話十両」,採録地「福井市」,話者「杉原ツヤ」
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※掲載情報は 2013/9/16 12:46 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
日清皿太夫  投稿日時 2021/10/29 22:10
 高額な警句を聞かせる店はコナミ社のゲーム『がんばれゴエモン!』にも出て来たっけ。

 男が「猫撫で声」の女に誘われ宿で床につこうとして十両で買った話を思い出す場面は、初めて観た時は分からなかったけれど同じ福井の民話「石のまくら」をちゃんと含んでいるのですね。NHKの『こわでん』でも紹介されています。

 噂話に尾ひれが付いたものか、福島にも似たような話がある。泊まった客を石の枕に寝かせ、その頭を天井から石を落として潰し、金品を奪う宿屋があったのだそうです。宿のあるじは年寄りだったというヴァリエーションがあって鬼婆のルーツとなり、子供がそれを見ていて、宿の泊まろうとした者に危険を知らせる歌詞の唄を聞かせて警告したというものも聞いた事がある。石で作られた枕は弘法大師も使ったといい珍しくなかったようですが、枕屋さんは置かないでしょうね。
ゲスト  投稿日時 2016/12/18 15:46
±0のように見えて、数年間の労働分がマイナス…
町に出稼ぎに行かなければ、3つの教訓もいらなかったわけだし。
ゲスト  投稿日時 2016/3/26 22:54
子供の頃に観た時は「猫なで声」の話が役立つ場面の、天井から吊るされてる石の意味がよく分からなかったな
あれは旅人を泊めては殺して金品を奪う盗賊の家って事だそうで
ゲスト  投稿日時 2015/11/14 22:13
いや、どうだろうこの男…
急に町へ行きたくなり、ふと帰りたくなり、話を買って一文無し…
よく嫁も待ったな。
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