年も暮れようとする頃の話。
雪深い山の中に住む夫婦は、正月を迎えるにも米一粒すら残っていなかった。そこで女房が作った髪飾りのかせ玉を町に売りに行くことにした。
男が地蔵峠を通ると、お地蔵様の頭の上に雪が積もっていたので雪を払ってあげた。大晦日の夕方、町についた男はそこでかせ玉を売るが、一向に売れない。と、そこに笠売りのおじいさんがやってきた。笠売りのおじいさんもまったく笠が売れないので、二人はそれぞれの売り物を交換することにして家路についた。
その途中、男がまた地蔵峠を通ると、お地蔵様は寒そうに佇んでいる。やさしい男はお地蔵様の頭に笠をかぶせてあげた。そして家に帰り、そのことを女房に話すと、それは良いことをしたと言い、女房も喜んだ。
さて、その夜夫婦が寝ていると、外で物音がする。出てみるとそこには米・野菜・果物・着物などがたくさん置いてあった。二人の目には、遠くに峠のお地蔵様が帰って行くのが見えた。こうして二人は無事に正月を迎えることができた。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:36 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
備考 | 狢工房様のサイトによれば演出は藤本四郎 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第9巻-第045話(発刊日:1976年11月10日)/童音社BOX絵本_第62巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第041巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第5巻-第20話(発刊日:2005年12月19日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第21巻(絵本発刊日:1985年01月15日)/講談社テレビ名作えほん第010巻(発刊日:1977年9月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「東北地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(童音社編集部)には、地名の明記はない |
講談社のデラックス版絵本より | 細い道の片隅で、静かな笑みを浮かべて、立っているお地蔵さん。お地蔵さんは、昔の人々にとって、ごく身近な存在でした。この話も”地蔵信仰”の話のひとつです。貧しいけれどやさしい男が、お地蔵さんを雪と寒さから守ってあげようと、笠をかぶせてあげることから物語は展開します。昔の庶民の貧しくともくよくよしない、あっけらかんとしたたくましさと、石でできたお地蔵さんにも人と同じように接する優しさに、感心させられます。お地蔵さんが並んで歩いてくるという面白さも、この話を楽しいものにしているようです。(東北地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「東北地方の昔ばなし」 |
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