西伊豆の土肥(とい)のよこね峠の先の「おとい村」に、たろべえという男の子と母親とで暮らしていた。
ある日、たろべえが畑の石ころを林の中に投げ込んで遊んでいると、誰かに当たった音がした。だが、あたりを見回しても誰もいなかったので、気にしないことにした。
ある日、たろべえが、薪(たきぎ)を売りに行った帰り道の事。提灯をつけて暗いよこね峠を急いでいると、目の前に山のようなものがあり道を遮っていた。よこね峠を何度となく行ったり来たりするが、どうしても先に進めないたろべえは、すっかり怖くなり倒れ込んでしまった。
朝になって目を覚ますと、背負いカゴの中にあの時投げた石ころが入っていた。それを見てタヌキに仕返しされた事に気が付いた。それから数日後、再びよこね峠を通りかかるとまたまた3つの山が現れた。もう怖くないたろべえは、謎の山を思いっきり蹴飛ばすと、大きな悲鳴とともに、赤く腫れたおおきなふぐり(金玉)を抱えた古ダヌキが泣きながら山へ逃げて行った。
狸を返り討ちにしたたろべえも、あの時に石を投げたことを反省し、その後はもう石を投げなくなった。
(紅子 2011-6-12 1:00)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 静岡の昔ばなし(三丘社刊)より |
出典詳細 | 里の語りべ聞き書き 第11巻,川内彩友美,三丘社,1992年06月10日,原題「よこね峠の狸」 |
場所について | よこね峠(地図は適当) |
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