昔ある所に、年老いた百姓夫婦と猟師の金佐(きんざ)が隣同士で暮らしていた。百姓の家では17年も可愛がっていた大きな赤猫がいたが、いつの間にかどこかへ行ってしまった。
ある日、金佐が鉄砲の弾を作っていると、隣の婆さんが「弾は何発作った?」と聞いてきた。
いつもと様子が違う婆さんに、金佐はいぶかしながらも正直に答えた。
その後、金佐は山にシシ捕りに出かけた。すると金佐の前に、赤い目の巨大な化け猫が現れた。身の危険を感じた金佐は、化け猫めがけて4発の弾を撃ったが、命中したにもかかわらず化け猫は倒れない。「金佐の弾は4発じゃ~。鉛がなくて弾切れじゃ~」
金佐は普段から隠し持っていた命玉(いのちだま)を取り出し、襲いかかる化け猫に向けて発砲した。被弾した化け猫は逃げ去ったが、化け猫がいた所に隣の家の茶釜のフタが落ちていた。そのフタの裏には4発の弾が撃ち込まれていた。
実はあの赤猫が年を取り、化け猫となり、隣の家のお婆さんを食い殺して入れ替わっていた。さらに化け猫は、勘が利く金佐に正体を見破られる事を恐れて、金佐も殺そうと襲ったのだった。
金佐は、家に逃げ帰っていた化け猫婆さんを退治し、家の床下を掘ってみた。すると、本当の婆さんの骨がゴロゴロと出てきた。
(紅子 2011-8-17 8:10:35)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 比江島重孝(未来社刊)より |
出典詳細 | 日向の民話 第二集(日本の民話43),比江島重孝,未来社,1967年12月20日,原題「ばあさんに化けた赤猫」,採録地「西都市妻町」,話者「栗下喜十」 |
場所について | 高しょく山(漢字と場所不明) |
このお話の評価 | 9.08 (投票数 24) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧