No.0570
おさんぎつね
おさん狐
高ヒット
放送回:0357-A  放送日:1982年09月04日(昭和57年09月04日)
演出:杉井ギサブロー  文芸:杉井ギサブロー  美術:馬郡美保子  作画:細谷秋夫
大分県 ) 36802hit
あらすじ

昔、豊後国の小野瀬の河原に、おさんという古ぎつねが住んでいました。おさん狐は、それはそれは化け上手で特に若い娘に化けるのが上手でした。村の若者もキツネと分かっていながら、この娘に会いに夜な夜な河原に出かける程でした。

ある晩、この河原に行商の男が通りかかりました。さっそくおさん狐は若い娘に化け、行商の男に声をかけました。まぁ男も旅なれた剛の者で、すぐにキツネであることに気が付きましたが、男は騙されたふりをして誘われるがままおさんの家に上がり込みました。

行商の男は、出されたお酒も得体のしれない酒だとわかっていながら、くいっと飲み干しました。そして「なかなかの化けっぷりだが、ちと若すぎるんじゃないか?」と言いました。化けの皮がはがれたおさん狐も落ち着いたもので、それならと今度は色っぽい芸者に変身しました。その晩、男と芸者姿のおさん狐は、きつねと人間のへだてを忘れて一晩中酒を酌み交わし語り明かしました。

二人の夜が明けて秋風が吹きはじめた朝になると、男は再び旅立っていきました。それからもおさん狐は、河原に来る人を相手に人とキツネの垣根を越えて、打ち明け話を聞いたりしたりしたそうです。

(紅子 2012-2-17 0:55)


ナレーション市原悦子
出典大分県
DVD情報DVD-BOX第8集(DVD第39巻)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このページを印刷
追加情報
講談社の300より書籍によると「大分県のお話」
このお話の評価9.4773 9.48 (投票数 44) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/2/17 0:55 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話の移動 ( 27  件):   <前  1 ..  10  11  12  13  14  15  16  .. 27  次>  
コメント一覧
10件表示 (全18件)
日清皿太夫  投稿日時 2021/10/9 1:19
 杉井ギサブローD×馬郡美保子×キツネ話は東北地方の「きつねの嫁取り」、「きつねのボッケ」、「岩屋の娘」がありますね。共通点が見えて来そう。
日清皿太夫  投稿日時 2021/10/9 1:07
 何と言っても市原悦子さんの演技力無しには成立しない話。うらぶれ方への豹変・哀しみの隠し方・色気のどれも物凄い。最近某所で聴いた昭和46年NHKのラジオドラマ『イグドラジルの樹』ではもっとう~んと妖艶な市原さんの名演が込められています。映画やTVドラマではこんな表情は起用してくれなかった。《不世出》という表現が思い浮かびました。

 得体の知れない酒、朝焼けに輝くススキの穂、涙ながらに女が語る悲恋話にしたって、どこまでがキツネの術中なのか判らず、キツネに邪心が無くてもいたずらで旅人の反応を見ているかも知れない。腹を探りあいながら虚構を本当の話にしてしまう演者二人の演技もすっかり物語の一部。同日放送された同じ監督・同じ美術担当による「青と赤の天狗さん」は天狗の悪意無きボケとツッコミという遣り取りが旅人とキツネのそれに近く、痛みを赤天狗が素直に訴えるなど本作と表裏の話にも思えます(笑)

 ススキが原は杉井Dと馬郡美保子さんも参加した三年後の映画『銀河鉄道の夜』ではスケールアップして出て来ますね。
ゲスト  投稿日時 2021/9/13 22:23
この「遠く旅していて、ふらりと入った場末のスナック。若作りのママから、若い頃の無茶話を聞く。ママは遠い目をしながら「あの頃は若かったねぇ」……とぽつり。静かに酌。更けていく夜。」とそういう雰囲気の話。のたとえが中々いいたとえがもう、最高です!!
ゲスト  投稿日時 2021/9/13 22:17
その気持ちわかります籠目さん!!この「この大人っぽい雰囲気が最高にいいですね。はっきりした教訓みたいなものはありませんが、好きな昔ばなしです。」確かに大人っぽい狐が溜まりません!!
絵師  投稿日時 2021/9/13 22:13
この昔話が一番好きです!とくにおさん狐が化けた色っぽい芸者は僕のタイプの年上の女性です!そして、おさん狐にそんな悲しい過去を持っているなんて思いました…。本当にいい話でした!!
Perenna  投稿日時 2020/6/10 23:13
この昔話と似たような話が、未来社の「大分の民話・第一集」にも収録されています。
題名も「おさん狐」となっています。
「文六という男性が、三年前に亡くなった女房の遺書を京都のご本山に納めるために旅立ちます。
途中、船の中で歳のころは三十五、六、色は黒いのですが、目鼻立ちのととのったいきな女性と知り合います。
この女性も京都のご本山にお参りに行くのですが、文六と同じく大分の稙田(わさだ)の出身でした。
稙田には霊山(りょうぜん)という有名な山があり、女はこの山の西の方に、文六は東の方に住んでいました。
二人は仲良くご本山に参り、京都見物もすませて無事に大分に帰り着きました。
女は別れぎわに「ぜひ私の家に遊びにきてください」と言います。
文六は女に教えられたとおり、満月の夜にお稲荷さんの祠の前で三つ手を叩き、「おさん、おさん!」と呼ぶと、どこかから女が出てきました。
女は文六を原っぱの小さな茅ぶきの小屋に案内して、お酒やご馳走をふるまいます。
文六が満月の夜に出歩いているのを不審に思った近所の人は、原っぱの真ん中で白い狐と楽しそうに酒を飲んだり踊ったりしている文六を発見します。
村人たちは文六をだます悪い狐だと思って、棒切れを振り回して追い払ってしまいます。
そんなことがあってから、このあたりによく川魚を売りにきていた年増女の姿がぷっつりと見えなくなりました。
その女はおさん狐で、霊山の麓を流れている七瀬川で魚をとって売りに来ていた感心な狐だったのです。
文六はたとえ狐でもあの優しい女のことが忘れられず、満月の夜に原っぱに行ってみたのですが、もう二度と姿を現わさなかったそうです。」

「霊山の麓にある稙田」という地名は、現在では大分市大字木上内稙田(おおいたし・おおあざ・きのうえ・うちわさだ)というところらしいです。
アニメでは「小野瀬の河原」となっていますが、七瀬川とはなにか関係があるのでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2019/1/13 18:54
市原悦子さん死去。享年82。
先ほどニュース速報でテロップがでました。
おさん狐は市原さんがいてこその最高傑作。
ご冥福をお祈りいたします。
カラムーチョさん  投稿日時 2018/11/17 16:04
テーマの近い蜘蛛女と同じく、杉井ギサブロー氏の作品。
ゲスト  投稿日時 2018/11/13 4:23
遠く旅していて、ふらりと入った場末のスナック。
若作りのママから、若い頃の無茶話を聞く。
ママは遠い目をしながら「あの頃は若かったねぇ」……とぽつり。
静かに酌。更けていく夜。

そういう雰囲気の話。
ゲスト  投稿日時 2017/2/18 6:30
これは中々の名作だな
タイトルだけだと妊娠中の狐の話かと思った
投稿ツリー
10件表示 (全18件)
現地関連情報
出典本調査 facebook
Twitter

オンライン状況

36 人のユーザが現在オンラインです。 (25 人のユーザが お話データベース を参照しています。)

新着コメント(コメント24件)