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No.0482
よいしあんだに
よいしあん谷
高ヒット
放送回:0302-B  放送日:1981年08月15日(昭和56年08月15日)
演出:小林治  文芸:沖島勲  美術:なかちか東  作画:小林治
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あらすじ

岩国(周防の国)の関戸村のいやずけ谷で、一人の猟師が獲物を探していた。雨も降っていたので、鳥屋(とや、小屋のこと)の中で、じっと獲物が現れるのを待っていた。

鳥屋の中からふと外を見ると、ミミズがガマガエルから食べられるところだった。ちょっとミミズが哀れだな、と思っている間に、白蛇がそのガマガエルを飲み込んでしまった。猟師は血の気が引く思いだったが、突然キジが現れ白蛇を襲った。次々と起こる出来事に驚いたが、せっかくの獲物を仕留めようとキジに鉄砲を向けた。

すると今度は、キジを狙ってヤマネコが飛び込んできた。猟師に背を向け、キジを食べ始めたヤマネコに鉄砲を向けたが、なんと今度は大きな熊がやってきた。熊はヤマネコを一撃で倒し、ヤマネコをくわえてやぶの方へ歩いて行った。

猟師はそっと熊のあとを追いかけ、木陰から様子をうかがった。ちょうど、二匹の子熊がヤマネコを食べているところだった。猟師は、「こんないいチャンスはまたとない」と思い、鉄砲で狙いを定めた。

猟師は、これまで起こった事を思い浮かべた。自分が子グマを撃てば、今度は自分が母グマに襲われるような錯覚に陥り、驚いてその場から逃げ出した。そして思案した猟師は「もう生き物を殺す仕事はやめよう」と決心し、谷底に鉄砲を捨てた。それ以来、この谷のことを「よいしあん谷」と呼ぶようになった。

(紅子 2011-9-14 1:38)


ナレーション市原悦子
出典山口県
DVD情報DVD-BOX第7集(DVD第35巻)
場所について山口県岩国市関戸(地図は適当)
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地図:山口県岩国市関戸(地図は適当)
追加情報
本の情報国際情報社BOX絵本パート2-第104巻(発刊日:1980年かも)
講談社の300より書籍によると「山口県のお話」
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※掲載情報は 2011/9/14 1:38 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
9件表示 (全9件)
Perenna  投稿日時 2021/12/9 22:45
この昔話と似たような話は、「ふるさとの民話15・福岡県の民話」(偕成社)にも収録されています。
「猪(しし)うち勘三郎」〈伝説・田川郡〉という話です。
「二百年もむかし、香春(かわら)の採銅所に、猪うち勘三郎といって、たいそう、イノシシがりのうまい男がいた。高巣山と福智山のあいだの盆地に、想無田の池があった。人里はなれた、さびしいところで、夜になると、イノシシが水あびにきた。」という書き出しで始まっています。
勘三郎が鉄砲をかまえて、イノシシを待ちかまえていると、一匹のミズスマシが水草の上に飛び乗るのが見えました。
その後、ミズスマシをクモが食べ、クモをカエルが食べ、カエルをマムシが食べて、さらにマムシをイノシシが食べます。
勘三郎はその光景を見て、「イノシシを殺した俺は、またなにかに殺されるのではないか?」と思いぞっとします。
すると、どこからともなく「勘三郎、よいふんべつじゃ」という声が、山や谷にこだましました。
勘三郎はその日いらい、猟師をやめて百姓になり、平和な一生をおくったということです。
解説によると、このような猟師の実生活を背景に生まれた昔話は、四国や奄美大島にも分布していると書かれています。
このような食物連鎖をテーマにした昔話の分布や流布について調べてみると、おもしろいかもしれません。
Perenna  投稿日時 2021/9/29 23:15
この昔話と似たような話は、「日本の伝説36・伊予の伝説」にも紹介されています。
宇和島市のあたりの話です。
「ここでは、土居の与右衛門のせんぐり食い話がおもしろい。
与右衛門は猪、鹿などを獲る猟師で、冬山の猪猟を得意とした。猪が出たとの村人からの知らせで与右衛門は山へ登ると、猪路にうずくまり火縄銃を構えて待つ。あたりは月明りで、足もとを見れば一匹の山みみずがのろのろと這っている。」
その後、山みみずを蝦蟇(がま)が食い、その蝦蟇を蛇が呑み、蛇は猪に食われます。
そこで与右衛門はハッと気づき、「これはせんぐり食いじゃ。つぎにはこのわしが何者かに食われる」とあわてて火縄銃の火を消します。
すると、どこからか妖怪らしきものの声がして、「与右衛門よ。よい思案じゃったのう。イヒヒヒ・・・」と山々にこだましたという話です。
岩国市の昔話とは、なにか関係があるのでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2020/8/2 0:07
読んだことあります。確か図書館とかにおいてある、昔話をカテゴリ別(怖い話、面白い話、人情話など)に纏めた小学生向けの本で読んだ覚えがあります。
ゲスト  投稿日時 2020/5/8 3:15
これと似たような話で、漁師が撃とうとしたとおころで何かに気付き、「ここで撃てばわしも…(何者かに食われるのではないだろうか)」と、撃つのをやめるのですが、そうすると山の方から何者かの「よく気付いたな、その通り。わははは」という声が聞こえてこの話は終わる、という話をどこかで読んだことがあるのですが、詳細が分かる方はいらっしゃらないでしょうか…。

小学生の頃の国語の教科書に載っていた物語だったか、ネットの掲示板(怖い話系かな…)だったかは忘れてしまったのですが…。
ゴンザ  投稿日時 2020/4/30 17:10
望さん、その話は松尾のせどさくだと思います
もんた  投稿日時 2020/2/10 20:05
何と読むのかわかりませんでしたが。猟師の気持ちもわかりますね。
望  投稿日時 2018/12/6 21:15
似たような話で、猟師が熊を撃ち鬼に食べられててしまう結末の話を以前見たことがあります。その昔話をご存知の方はいらっしゃいますか?良い思案をしていないのでタイトルはよいしあん谷ではないと思うのですが、ご存知でしたら教えて下さい。
ゲスト  投稿日時 2017/10/3 16:50
今回は珍しく、良いbgmが使用されていませんね。
よいしあん谷に出てきた鴻の卵の蛇  投稿日時 2017/7/3 20:29
あの蛇、なんか「鴻の卵」に出てきた蛇にそっくりですが、その蛇でしょうか?
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