顔に大きなこぶのある、のんきなお爺さんと心の狭いお爺さんがいた。
のんきなお爺さんが森に木を切りに行くと、突然雨が降ってきたので木のうろで雨宿りをすることにした。いつのまにか眠ってしまい、目が覚めると鬼たちが楽しそうに踊っていた。
お爺さんもついつい鬼たちの輪の中に入っていってしまった。お爺さんの踊りを気に入った鬼が、また明日も来るように、それまでこれを預かっておくと言って顔のこぶをとってくれた。
あくる日そのことをもう一人のお爺さんに話すと、その爺さんも、さっそくその夜に鬼の踊りの輪の中に飛び込んでいった。しかし陽気なお爺さんと違って、踊りが大嫌いでいやいや踊っていたものだから、鬼たちはすっかりしらけてしまった。
お爺さんはこぶをとってくれと嘆願するが、逆に昨日預かっていたこぶを顔につけられてしまい、両方の頬にこぶをつけて一生を送らなければならなくなってしまった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:36 )
ナレーション | 市原&常田 |
出典 | (表記なし) |
備考 | K・S・Rとは、K=座間喜代美、S=池田志津子、R=斉藤礼子 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第11巻-第051話(発刊日:1977年1月10日)/童音社BOX絵本_第61巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第007巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第4巻-第13話(発刊日:2005年12月7日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第44巻(絵本発刊日:1985年12月15日)/講談社テレビ名作えほん第011巻(発刊日:1977年10月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「東北地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(童音社編集部)には、地名の明記はない |
国際情報社の絵本より | 鎌倉時代につくられたといわれる『宇治拾遺物語』の中に、この『こぶとり爺さん』の話がでてきます。この本の編者は、はっきりしていませんが、内容は仏教色が強く、日本の話だけでなく、インドなどの話も取り入れられており、鎌倉時代の説話文学の代表的な作品だといわれています。『こぶとり爺さん』は、昔話タイプの一つ、”隣のじいさん”の型をとっていますが、同じようなタイプの『花咲か爺さん』の場合は、臼をもやした灰、この『こぶとり爺さん』の場合は、こぶが、最後の場面で幸不幸を決定づけています。しかし、こぶが一つあってもこまるのに、二つにもなった”隣のじいさん”は、現代では、かえってわたしたちの同情をさそいます。(地名の明記なし) |
講談社のデラックス版絵本より | 「こぶとりじいさん」は、鎌倉時代の「宇治拾遺物語」の中に「鬼にこぶを取らるること」という話があるのをはじめ、古くからよく知られている昔話の一つです。話の型としては「花咲爺」などと同様、「となりの爺型」とよばれる一連の話に属し、人の成功をねたんでマネした者が大失敗するというパターンが見られます。おじいさんと鬼たちの出会いで、鬼たちは車座になって宴を楽しんでいます。車座というのは上座も下座の区別なく、みな対等にという知恵から生まれたもので、ざっくばらん、わきあいあいがモットーです。そのなごやかな雰囲気をこわし、こぶを二つにされた陰気なおじいさん。気の毒な気もしますが、昔の人たちから見れば当然の罰だったのかもしれません。(東北地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説には地名の明記はない |
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