No.1203
しおふきうす
塩ふきうす
高ヒット
放送回:0760-A  放送日:1990年08月04日(平成02年08月04日)
演出:前田こうせい  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次  作画:前田こうせい
岩手県 ) 25301hit
あらすじ

むかし、ある所に兄と弟が一緒に住んでおった。兄は強欲なだけの怠け者で、家や田畑を働き者の弟に手入れさせておった。

ある時、弟は女房をもらったが、兄は弟に田畑を分け与えず、貸すことすらしなかった。それで弟夫婦は家を出て、荒れ地に新しい田畑を作り始めた。じゃがそれは容易なことではなく、年越しの晩には弟の家には一粒の米もなくなっておった。

弟は兄に米を借りようとしたが、兄は一粒の米も貸してくれなかった。弟が仕方なく家に帰る途中、ごうと強い風が吹いてきて、気がつくと奇妙な爺さんが立っておった。爺さんは麦饅頭を差し出し、「お堂の裏の穴に行って、この麦饅頭は石臼となら取り換えても良いと言うんじゃよ。そうすれば良い正月がくる。」と弟に教えたそうな。

弟が麦饅頭を持ってお堂の裏の穴に入って行くと、誰かが「これと換えてくれ。」と黄金を山のように積み上げた。「この麦饅頭は石臼となら取り換えてやる!」と弟が叫ぶと、わっと小人達が現れ、あっという間に弟の手には石臼だけが残っておった。それは宝の石臼で、『右に回せば望みの物が出てくる。左に回せば止まる。』というものじゃった。

弟は早速家に帰り、最初に石臼から米を出し、それから塩鮭を出し、馬を出し、屋敷を出して、一晩のうちに長者様になってしもうた。翌日、弟は村人達を集め、ご馳走を出して正月を祝った。

ところが兄は面白くない。そうして、兄は弟が石臼で土産のお菓子を出しているところを盗み見たのじゃった。そうして兄は、その夜の内に石臼を盗みだし、舟に乗って先祖代々住んだ土地を逃げ出した。

舟が沖に出た頃、兄は一緒に盗んだお菓子ばかり食べていて塩辛い物が食べたくなったので、石臼を回して塩を出した。ところが石臼はもの凄い勢いで塩を出し始め、止め方を知らなかった兄は舟もろとも海の底深く沈んでしもうた。

石臼は、今でも海の底で塩を出し続けておって、海の水が塩っ辛いのはそのためだそうじゃ。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-9-19 22:20 )


ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
備考出典元不明ですが、初期版のリメイク版である点をふまえ「岩手」としています。
DVD情報DVD-BOX第1集(DVD第4巻)
VHS情報VHS-BOX第3集(VHS第25巻)
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追加情報
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※掲載情報は 2013/9/20 1:45 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2021/10/26 14:46
塩ふきうす(リメイク版)、可愛いお爺さんは仙人だったのか?と思います。
Perenna  投稿日時 2020/11/18 0:42
この昔話の出典は、未来社の「みちのくの百姓たち」ではないでしょうか?
「海の塩」(岩手県)という題名です。
「昔、ある所に金持の兄と、貧しい弟とがすんでいた。年の暮になっても、正月のしたくができなかった弟は、兄の家に米を一升借りに行ったけれど、兄は貸してくれなかった。がっかりしてとぼとぼ家に帰って来ると、山道で柴を背負うた白髪のお爺さんに出逢った。」

弟が「今晩は年越しだけれど、お歳神さんに上げるものもねェので、あてもなくこうしてあるいています」と言うと、お爺さんは次のように教えてくれました。
「そう、それは困るねェ。この麦饅頭をあげるから、この先の御堂に行ってごらん。御堂の裏に穴があって小人がいるが、その小人たちがとてもほしがるので、その饅頭をやりなさい。そして金でも米でもねェ、石のひき臼ととりかえてもらいなされ。」

また、弟がひき臼から出した品物は次のように書かれています。
「米出ろ、米出ろ」と言いながら右に廻すと、米がぞくぞくと出て来た。その次に鮭が出ろと言うと、塩引が何本も出て来た。こうして弟は、何不足もない年越し、正月を過ごすことができた。そればかりでない。家も土蔵も、厩も馬も出して、にわかに長者のくらしをすることになった」

兄は、弟夫婦が寝入ったのを見はからって、石の小臼と側にあるご馳走やお菓子まで、残らず持ち出して小舟に乗り込みます。
舟の中には甘いものばかりで塩がなかったので、「塩出ろ、塩出ろ」と唱えながら臼を廻しますが、止め方がわからず、とうとう舟は海の底に沈んでしまいました・・・

旧作のほうは、またべつの原作があるのではないでしょうか?
Perenna  投稿日時 2020/7/26 22:31
小人たちとまんじゅうと石臼を取り替える話は、未来社の「佐賀の民話・第一集」にも収録されています。
「塩吹き臼」という題名です。
「貧乏な弟さんは、ある人から聞いてまんじゅうを作った。それを腰にさげて旅に出た。貧乏な弟さんは、せめて子供なりとも餅を食べさせてやりたいものだ、と思いながら行っていた。すると、その途中で、小人たちが洞穴の中に、長い木を一本ずつ運んでいるのに出会った。」と書かれています。
伝承地は、佐賀県神埼郡東背振村上三津と書かれています。
岩手県に伝わる話とはどのような関係があるのでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2020/4/10 18:30
旧作の弟は正直者、兄は欲深。リメイク版は弟夫婦は働き者、兄は怠け者で欲深。
それからは海の水はなぜ辛いのは?本当かな?
それにしても、リメイク版の塩ふきうすはお爺さんと小人達はプリチーでとっても可愛い。
匿名希望  投稿日時 2014/2/26 19:35
リメイク版の塩ふきうすに登場する兄弟は、顔があんまり似てないけど。
特に、兄貴は明石家さんまに似てるし。
弟は、阿部サダオに似てるね!(笑)
匿名希望。  投稿日時 2013/9/20 12:45
リメイク版に登場したお爺さんと小人達が超カワイイ!
もしかして、お爺さんは神様の化身かな?
マニアック  投稿日時 2011/10/25 20:18
旧作の弟百姓は、独身。リメイクでは、女房持ち、リメイクの方が貧乏でも、ましな方。
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