似たような昔話は徳島県にも伝わっています。
「阿波の民話・第2集」(未来社、武田明編)には「お亀千軒」という民話が収録されています。
昔は徳島の東の亀磯は一つの島でしたが、漁師の家が千軒もあったそうです。
それでお亀千軒といい、島には夷(えべす)さんを祀っていました。
一人のおばあさんがその夷さんを信心して毎日お参りしていました。
ある晩、夢のおつげで、もし夷さんの顔が真っ赤になったらこの島は海に沈むと言われます。
おばあさんは村の人たちにこのお告げを知らせますが、村のいたずら者の若衆がふざけて、紅がらを夷さんの顔に塗りたくります。
あくる日、夷さんの顔が真っ赤になっているのを見たおばあさんは、家中の者を連れて島から逃げ出します。
村の者は若者のいたずらを知り、みんなでおばあさんの一家を笑いものにします。
ところが二、三日して大きい地鳴りがしたかと思うと、ほんとうに島は海の中に沈んでしまいました・・・
この伝説は「徳島市郷土史編」(昭和7年)という本にも詳しく記載されています。(コマ番号71/168)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1191441/71大分県の瓜生島の伝説とは、どのような関係や共通性があるのでしょうか?