この昔話と似たような話はトルコにもあります。
「たから舟:世界童話集」(大正9年)には「果報は寝て待て」という題名で、次のようなお話が収録されています。(コマ番号30/202)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/962979/30あるところに貧乏な樵夫(きこり)の夫婦がいた。
ある日、樵夫はいくら働いても裕福になれないので働くのが嫌になり、床(とこ)から起き上がらず寝て暮らすようになってしまった。
そこへ隣村の若い男が、樵夫の家で飼われている驢馬(ろば)を借りに来る。
この若い男は、野原に土耳古(トルコ)の王様の宝が埋まっているのを知っていた。
男は驢馬の背に宝の袋をくくりつけて、そのまま雲隠れしようとする。
しかし兵士に見つかってしまい、男は驢馬を残して森に逃走する。
宝の袋を背負った驢馬は、そのまま樵夫の家に戻ってくる。
樵夫は、宝を見て驚いている妻に「それみろ。やはり果報は寝て待つものなのだ」と得意がったという。
外国の昔話では、働かずにぶらぶらして最後に幸運を得たのを「果報は寝て待て」というらしいです。
日本では「働かざる者、食うべからず」という戒めがあるので、「果報は寝て待て」の意味もおのずから違ってくるのかもしれませんね。