芝右衛門狸
淡路島(あわじしま)の洲本(すもと)の町を見守るように、背後にそびえる三熊山(みくまやま)。この山に住むという狸が芝右衛門狸(しばえもんだぬき)である。芝右衛門狸は、佐渡島(さどがしま=現在の新潟県佐渡市)の団三郎狸(だんざぶろうだぬき)、讃岐国屋島(さぬきのくにやしま=現在の香川県高松市)の禿狸(はげだぬき)とならんで、日本三名狸にあげられる有名な狸だ。なお、「芝右衛門狸」は「柴右衛門狸」とも表記されるが、ここでは古い文献の表記を尊重して、「芝右衛門狸」で統一したい。
三熊山の山頂部には、中世の安宅(あたぎ、「あたか」とも言う)氏の城に由来するとされる洲本城がある。現在は、江戸時代はじめに脇坂安治(わきざかやすはる)が築いた石垣が残る。大坂夏の陣以降、淡路国は蜂須賀(はちすか)氏の阿波国(あわのくに=現在の徳島県)徳島藩領となり、寛永12(1635)年から重臣の稲田(いなだ)氏が城代として洲本に入る。しかし、稲田氏時代の洲本城は山麓部に築かれたもので、三熊山の山頂部は使われていなかった。現在は、1928(昭和3)年に昭和天皇即位式に合わせて建設された模擬天守閣が、町を見下ろしている。
三熊山の芝右衛門狸の祠: 主郭跡の片隅には、芝右衛門狸をまつる祠(ほこら)があり、中には狸像がまつられている。
http://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/historystation/legend3/html/010/010.html