Re: ふたつの金太郎を見比べて
投稿者:ヴィアラクティア 投稿日時 2012/12/22 12:11
76年版、90年版の金太郎を見比べての感想。
76年版の作画、演出は可愛らしさと親しみやすさでは
優っていますが、親子の絆、愛情の描き方が
乏しかった印象を受けました。
金太郎の子供時代をメインに描いただけですが。
母親も金太郎に対して愛情が全くないわけでは
ないのでしょうが、
「親はなくとも子は育つ」を地で行く母親なのかもしれません。
90年版の金太郎の作画、演出は
可愛らしさと親しみやすさには欠けていて
少々生々しさがあるものの、
親子の絆、愛情、金太郎の強さだけでなく
賢さと優しさが伝わります。
90年版は実の親子ではなく乳母と
主君(または雇い主)の息子という設定ですが
主君の子をわが身に変えても守り抜くという
彼女の並々ならぬ思いが伝わります。
主従関係を感じられないのは、
金太郎を守るためどこにでもいる普通の親子を装うとした
彼女のとった方法だったのでしょう。
乳母も金太郎に母乳を飲ませているということは
彼女にも実子がいたはずです。
乳母はいろいろな事情で実子と別れざるおえなかったから
金太郎と実子と重ねながら育てたのでしょう。
物語の終盤で金太郎は源頼光と対面します。
乳母は頼光を、金太郎を立派な男に育ててくれると人物とみて
彼を頼光に託したと思います。
90年版は波乱含みではあるけれど
立身出世のチャンスをつかんだ金太郎の物語ですね。